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第194回コラム「上げろ、ワールドランキング!!」

東京オリンピック終了後、日本トライアスロン連合の強化体制は新しくなった。
良い悪いではなく進化を遂げるために変化をすることは必要だと考える。
新体制の指針の中で特徴的な部分は、エリート選手およびそれを目指す若手選手たちに対してWTランキング(以下、WTRと略)を上ることを求めていること。
世界シリーズ、ワールドカップ、コンチネンタルカップ。
WTRに必要なポイントを獲得できる大会に積極的に出場することが必要となる。

背景には日本の選手が海外レースを重視せず、国内開催の選考レースでのみ国際大会の出場資格を得ようとする残念な発想が蔓延した時期があったからだ。
もっと海外レースに目を向けよう。
海外レースで戦うことこそ経験値を上げることになるとの考えからだ。
国内でいくら勝ったとしても海外で通用しなければ「強い選手」とは言えない。
テニスのランキングと同じだと考えれば良い。
テニスでは、ランキングが高い選手でないとグランドスラム4大会に出場することはできない。
常に戦い続けポイントを稼ぐ。
賞金を稼ぐ。
勝てば次のステップに進める。
負ければイチから再スタート。

ランキングを上げること=本当に強い選手。
これが正しいとは言えない部分があるのも事実。
しかしながら最初のステップとしてのランキング重視は大きなチャレンジだと感じる。
トップを目指したい選手の意識はだいぶ変わった。

ただこれを実行するためには膨大な費用が掛かる。
この費用の捻出は、選手個人にとっても、JTUにとっても大きな課題。
「海外に飛び出せ!!!ただし自費で!!!」となってはあまりに無慈悲だ。
経済的な大きなゆとりがある訳ではないが、選手・JTUが相互に理解しつつ目標に向けて進んでゆく必要がある。

現状のランキングは、WTのホームページから確認できる。
今週末は世界シリーズ横浜大会。
日本選手がWTRをジャンプアップさせる絶好の機会だ。
そしてこの大会は9月に中国で開催されるアジア競技大会への選考レースも兼ねている。
日本トップクラスの選手がどこまで喰らいつくことができるか。
期待をしながら見守りたい。

【写真1】
現在、アジア競技大会への出場推薦基準を突破しているのはこの男のみ。
闘志を内に秘めた日本王者・小田倉真。
小田倉

 

 

 

 

 

 

 

 

【写真2】
2024年パリ五輪でのメダル獲得に向けて、どこまでレベルアップしているか。
この横浜大会で確認したい。
ニナー賢治が表彰台に挑む。
ニナー賢治

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

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