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第179回コラム「東京2020大会に向けた日本チームの新たな方策。」

東京オリンピックにおいて目標達成はできなかった。
そのことは事実だ。
次に向けてしっかりと対策を練ってゆく必要がある。
だが東京への挑戦として日本トライアスロン連合は多くの挑戦をした。
大会が終了した今、それを伝えたいと思う。

1. 外国人コーチの登用
2. 男子ナショナルチーム体制
3. インターナショナルチームへの所属
4. 海外チームとの協働活動
5. 選手の国籍移管

1 パトリック・ケリー氏を日本男子チームのヘッドコーチとして招聘。
カナダ人であり、2016年リオデジャネイロまで香港チームの指揮を取っていた同氏を日本へ招聘した。
甲府を拠点として活動することを決定した。
環境の良さ、都内からの移動が簡単であること、山梨学院大学との連携可能、チームケンズとの連携可能など諸条件を考慮し、活動拠点とした。
女子においてはダレン・スミス氏とアドバイザリー契約を結び合宿に帯同してもらい助言をもらった。

2 男子は、過去大会の振り返りからナショナルチーム体制にて強化を図る必要性を誰もが感じ、山梨県甲府市にトレーニング拠点を設置した。
一軒家を借り、そこにタレント選手が住みながら強化を進める。開始時点においては4名の選手が活動していたが、そのうち3選手が離脱する。
その後、新たな体制の中で継続強化。
オリンピックが近づくと合宿を頻繁に開催し、国内拠点の一つとして利用した。
2選手が積極的に活用。
最終的にはここでのトレーニングに耐え切った2選手がオリンピック代表選手となった。

3 海外にあるインターナショナルチームに所属し活動を進める。
パウロ・ソーザ氏(USA)、ダニエラ・ステファノ氏(AUS)の指導を受けながら海外を拠点としてチームメイト共にトレーニング生活を続ける。
タフな選手でなければ対応することは難しいが2選手は確実にレベルを上げた。

4 東京2020大会に向けて様々な国と連携を結んだ。
その中で躍進著しいノルウェーチームと連携が最も成果を出す結果になった。
ノルウェーチームのトレーニング方法を学んだことは日本男子チーム躍進に直接的につながった。
企業秘密となる部分があるため多くは語れないがデータに基づくトレーニング実施は衝撃的でもある。
そのノルウェー男子は金メダル+8位入賞。そしてアイアンマンのフィールドでも結果を出し続けている。

5 ニナー賢治選手はオーストラリアから日本へ国籍を移すという大決断をしてくれた。
お母様が日本人ということで実現可能となった。
お父様は日本の武術をオーストラリアで指導していると聞く。
ノルウェーのトレーニング方法との相性が良く飛躍的にレベルが向上した。
オリンピックにおいてはオーストラリア代表選手全員を打ち倒した。

新型コロナウィルスの影響で2024パリ大会までは3年しかない。
そしてアジア圏、オセアニア圏では大会が次々と中止になってゆく。
そんな中でオリンピックポイントをどう稼ぎ、どうやってランキングを上げてゆくか。
パリに向けても多くの課題を抱えながらも日本チームは引き続き挑戦をしてゆく。

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【写真1】
ニナー賢治選手とノルウェー代表選手。
金メダリストのC.ブルーメンフェルト達との合同トレーニングは絶大なる効果をもたらした。

 
 

応援メッセージ
【写真2】
オリンピック/パラリンピックの開催においては色々な意見があったことは理解している。
苦しい時期もあったが同時に多くの人たちの支えもあった。
心より感謝したい。

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

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