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第163回コラム「チャンスか、ピンチか。」

オリンピックが来年に延期という決断がなされた。
1年後、本当に開催できる状況になっているかどうかも判らない。
しかし選手にとっては「中止ではない」という決断がされたことは大きな励みになっているだろう。
未来がどのような形になろうとも選手は進むしかない。

そして現在、全国に発令されている非常事態宣言。
極力、外出を控えるよう指示が出されている。
室外でトレーニングができないことは本当に辛いと思う。
スポーツクラブなども閉鎖となり泳ぐこともできず選手の不安は募るばかりだろう。

選手にとって、これはチャンスなのか、ピンチなのか。

SNS上では様々な各スポーツのトップ選手の動画がアップされている。
室内で実施できるトレーニング動画や、気持ちを盛り上げる動画、気持ちを落ち着ける動画など様々だ。
普段であれば実施できないような素晴らしいトレーニング方法も紹介されている。
このようなツールを使って自分をレベルアップさせてほしいと思う。

一方、最新式のトレーニングこそ正しいと選手は信仰しているが、どの競技においても昭和年代のトレーニング方法がここにきて改めて取り入れられていることを多くの場面で感じている。
もちろん数字・データに基づく証明がなされ、安心して古のトレーニングを実施できるようになったことが理由であろうが、現代選手が軽んじていた過去のトレーニング方法が正しかったということを感じる機会は少なくない。
ファッションで競技に取り組む選手ほど表面的な最新情報に踊らされている感は否めない。
しっかりと真贋を見極めてくれるとこと期待している。

現在のこの危機的な状況である今をチャンスと捉えている選手はどれぐらい存在するだろうか。
調子の良い時は、誰でも充実したトレーニングができる。
調子が悪い時に、どんな目的やどんな心構えでトレーニングに取り組むか。
ここで大きな差が出ることを改めて伝えておく。
外でトレーニングできない状況は世界共通。
不自由な今こそが世界との差を詰める大きなチャンスだ。
そう考え、行動できる選手にならなければ大きな栄冠をつかむことはできないだろう。

令和 汽車
【写真1】
1年前、日本は平成から令和へと年号を変えた。
そして令和2年は試練のスタートとなった。
この難局をどう乗り切るか。
自分の目標がブレない選手はこの試練すらチャンスにつなげてゆくだろう。

 
 

寒河江キッズ
【写真2】
2019年山形県寒河江市で開催されたレース。
キッズ大会も開催された。
非常に良い環境で、この地で様々な強化・育成イベントを開催する予定だった。
2021年、エリート・ジュニア・キッズにとって素晴らしい大会が各地で開催できるよう、外出できない時間を使って考えてゆきたい。

 
 

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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