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第10回勝負の時、きたる! 

皆生大会出発を目前にしてこのコラムを書いている。日々、緊張感が増してゆくのは、エリート選手も一般選手も一緒だ。昔は「勝つ!」ということに対しての緊張感、恐怖感、期待感だった。今は何に対して緊張しているのだろう。「自分に打ち勝つこと!」これができるか否かに対する緊張感かも知れない。レースまでわずか3日(原稿を木曜日に書いている)。あとは万全な体調でレースに臨むだけ。今更、練習したって効果は無い。だが判っていても不安解消のため練習に行ってしまうのは悲しい性。よく眠るために走ってこよう。

先ほど、中西真知子選手から励ましの電話をもらった。「中山さんの教えを守って私は戦ってきた」と嬉しい言葉。しかしそれは同時に「私に教えてくれたことの見本を見せてね!」という意味でもある。これは中西真知子の挑戦状だ。「受けて立とうじゃないか!」と気持ちが高ぶる。さすが・・・コーチの扱い方も良く判っているよ、あなたは!

先週&先々週と湘南の森戸海岸にオープンウォータースイムの練習に行ってきた。どんな練習をしたかというと、ただひたすら泳ぐだけ。ペースは関係なし。泳いだり、止まったり、波打ち際で遊んだり、自然を感じながら練習した。この場所には私の小学校時代からの親友が経営するヨットクラブがある。彼もまたヨット競技でオリンピックを目指し、もう一歩のところで届かず、私と同じような状況の中で現役生活を終えた。そして今は一般愛好家から競技選手まで幅広く指導をしている。年に1~2回しか会わなくても付き合いは続いている。私が練習していると、突然、その彼も参加。もちろん決して上手くはない。普段練習していないのだから。だが、いざ始まると自分の限界を超えて狂ったように練習する。競技が違っても頂点を目指して戦ってきた選手は、同じような行動パターンだな~とつくづく思う。ヨットに興味がある選手は是非一度訪れると良い。オープンウォータースイムの一助となるだろう。 http://www.sailco.com これがURLだ。

3種目を連続して行う複合競技トライアスロンだからこそ、他の競技にも積極的に目を向けてみよう。自分のトレーニングの参考になったり、自分の視野を広げたり、必ず強化に役立つはずだ。固まった発想ではツマラナイし、強くもなれない。柔軟な発想こそトライアスリートの必要なものだ。

さて、柔軟な発想で皆生大会、走ってくるか・・・その前にBIKE箱詰めしなきゃ。

(写真)
ヨットレーサー中尾和嘉。海のことで彼から学ぶことは多い。水泳で学ぶことは少ない。
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中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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