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第111回リオデジャネイロへの道、スタート

2014年WTSを皮切りにオリンピック出場のためのポイントレースが始まった。
そのため男子も女子も世界トップクラスのメンバーが見事に集まった。
結果はすでに知っての通り。
女子はジョーゲンセンに上田藍が食いつき2位で表彰台を獲得。男子もブラウンリー兄弟VSスペインチームの戦いの狭間で田山が久しぶりに8位に入賞。
日本チームとしては非常に良いスタートとなった。
ここから本番までの2年間、選手にとってはタフな日々が続く。

女子は足立真理子、佐藤優香が積極的にSWIMから上位でレース。
上田藍はSWIMで予想外に遅れる。
ところがSWIM終了時にジョーゲンセンが第1集団に残ったことでレースは一気にスローダウン。
これにより上田がBIKE終了間際に集団に追いつき、RUNでチャンスをものにした。
なんという強運だろうか。
だがその僅かのチャンスを確実にモノにしたのは上田の実力。
どんな状況になっても諦めない、どんな展開でも自分から動く、というスタイルがこの好成績につながった。
佐藤も同様だ。自分で動くことを意識してレースに臨む。
結果は4位と表彰台には届かなかったが「攻める」ことを意識したからこそ上位に食い込むことができた。

男子はブラウンリー兄弟を要するイギリスが勝つか、ゴメス、モーラのスペインが勝つか、この戦いが基本となって展開されることはレース前から判り切った事実だった。
他の選手は、このことを念頭に入れた上で、レースプランを組み立てる必要がある。
R.マレー(南ア)を含めた世界5強が参加する中で、田山、細田がどこまで通用するか。
SWIMでモーラ、マレーが遅れるもののBIKE序盤でブラウンリーに追いついたため、やはり駆け引きが中心の展開となる。
残念ながら横浜のコースはBIKE実力差を発揮しづらい安全重視のコース設定となっているのでBIKE得意の選手にとって見せ場は少ない。
結局、RUNでの勝負。
BIKE→RUNのトランジションでは細田が仕掛け、その勢いを利用して11位に踏みとどまる。
田山はRUN後半を踏ん張り切り、8位入賞となった。
国内WTSではあるが2名の選手が上位でフィニッシュできたことは朗報だ。
1分違えば10、順位が異なる男子のレース。
最後まで緊張感を途切れさせない精神面の強さはもはや必須条件だ。

リオデジャネイロに向けて好スタートを切った日本チーム。
この勢いを切らさず前進を続けるしかない。
選手層の薄さは気になるが、誰かが可能性を見せ続けることでU23世代、ジュニア世代が、その後につなげてゆくだろう。
2020年東京五輪、悲願のメダル獲得に向けて選手、指導者は前に進むしかないのだ。

【速報】
6月15日、メキシコで開催されたWCウアトゥルコ大会。
上田藍選手が見事に3度目の優勝を果たす。
強い気持ちが強いレースを創り出すのだ!

【写真1】DSC_0033 TRI-XWTS横浜大会・記者会見。
国外WTSレースでも、このように日本選手が呼ばれるようになることは目標のひとつだ

【写真2】IMG_20140415_142952 TRI-XWTSオークランド大会の解説に挑戦する上田選手。
身体の切れと共に頭の切れも磨く。
全てがトレーニングだ。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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