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第105回コラム「懐かしのスポ根マンガ&アニメ」

スポーツマンガといえば何を思い起こすだろうか。

我々の世代でいえば「巨人の星(野球)」「明日のジョー(ボクシング)」が王道だ。
我々より少し先輩の方々には東京オリンピックで日本が活躍した「アニマルワン(レスリング)」「サインはV(バレーボール)」が思い浮かぶだろう。
「アタックNo.1(バレーボール)」「空手バカ一代(極真空手)」「タイガーマスク(プロレス)」と種目もさまざまで多くのスポーツマンガが排出されている。

現実のスポーツ界に大きな影響を与えたマンガといえば「キャプテン翼」。
海外サッカー選手にも影響を与えたモンスターマンガだ。
「スラムダンク」は子供だけでなく大人に対しても大きな影響を与えた。
特に高校生バスケマンの聖書ともいえるものだった。

あまり知られていないスポーツを、マンガやアニメを通じて知ることも少なくない。
そういった意味では競技を普及させるに当たり、マンガ、アニメの影響力は大きいと言える。

時には過度の表現となり競技の本質からかけ離れてしまうこともあるが、その競技の面白さや特徴を知ってもらうには有効なツールとなり得る。

トライアスロンはどうだろう。
既に廃盤となっているが「10月の満月に一番近い土曜日(石渡治)」はアイアンマンを題材とした名作だ。
トライアスロンの本質、苦しみと喜び、辛さと楽しみが見事に描かれている。
他にもいくつか存在したが、ちょっと現実離れし過ぎている。
トライアスロンをマンガ化してくれる漫画家の出現を待ちたい。

なぜこんな話をしたかというと、ここ最近のスポーツ漫画は作者が非常によく勉強してくれていて、トレーニング方法の紹介、競技における考え方、競技の本質など、そのスポーツの根幹に係る役立つ内容が含まれている場合があるからだ。

所詮は「マンガ」「アニメ」とバカにされても仕方ない部分もあるが、非常に役立つ内容のマンガも存在している。
トライアスロンに限定せず、自分の経験したスポーツを含め、その競技が世間ではどのように思われているのか、考えてみると楽しさは倍増する。
レベルアップにつながるヒントは数多く存在する。

ただストーリーは違えど、最終的な結論は同じだ。
練習を積んだ者だけに勝利は訪れ、あきらめない心、強い心を持った者のみが夢を実現することができる、ということ。
至ってシンプルだが、競技の本質である。
血と汗と涙の先に勝利が訪れる。

残念ながら、呪文を唱えて強くなったり、ある朝起きたら見知らぬ力が覚醒していた、という話はどこにも存在しない。

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【写真1】
自転車競技を知るにはもっとも有効と考える私の推薦マンガ「ツール」。
ストーリーではなく「自転車ロードレースとはどんなものか」を知る良いキッカケにはなる。
エリートで戦うためには必要不可欠な情報も含まれる。

【写真2】

ここ最近の名作「GIANT KILLING」
サッカーという競技を通しながら、選手だけでなく指導者に対しても何が大切であるかを提案している。
正解は一つではない、だが本質は不変であることを伝えている。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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