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第103回コラム「2013年のアジア選手権。今後の行方。」

2013年も早6月。
3月のU23ナショナル合宿のときにPCをぶっ壊し、データがすっ飛んでコラムに穴を空けてしまった。
ここからは心を入れ替えて更新してゆきます。

2016年リオデジャネイロ五輪への生き残りを掛けた各競技の戦いは熾烈を極めている。
レスリング、野球&ソフトボール、スカッシュが生き残った。
最後の一枠は、2020年オリンピック開催地が決定する9月7日の翌日に決定される。
ここで東京は生き残れるか。
みんなで応援してゆこう。

トライアスロンは1989年に第1回世界選手権が開催されたときからオリンピック種目に入ることを視野に入れ改革を行ってきた。
その過程でレースコース設定、競技ルールの変更、参加人数の限定、参加国増加のための施策など様々な手段を講じてきた。
その中には選手にとって受け入れがたい内容もあったし、国によっては賛同できないという姿勢を示す場面もあった。
批判や非難はあるけれど、こうしてトライアスロンが2000年のシドニー・オリンピックから正式種目となる。
その後も安定した状態でオリンピック種目として生き残っている。
これはレス・マクドナルドITU前会長や、マリソル・カサド現会長の功績でもある。
JTUとしても全面的にITUに貢献し、アジア諸国をリードしてきた。
また競技面においてもアジアのリーダーとして各国を引っ張り、アジア人でも世界に対抗できることを証明してきた。

2011年のアジア選手権イーラン大会においてはエリート、U23、ジュニアのほぼすべてのカテゴリーの金・銀・銅メダルを独占した。
その影響で、今年のアジア選手権の際のASTC(アジア)会議では1か国のメダル独占を防ごうという論議が行われたほどだ。
この会議の結論はまだ出ていない。

だが今年のアジア選手権では中国が大きく躍進した。
エリート男女、U23男女、ジュニア女子の5カテゴリーで日本は優勝したものの、2位、3位は中国を筆頭に各国に奪われ、特にジュニア男子においてはメダルゼロという結果に終わった。
今年のアジア選手権においては「トップの座を死守した」という状態だった。
アジア全体のレベルアップは喜ばしいことであるが、日本チームとしては安心できる状態ではなくなっていることを理解しておかなければならない。

リレーにおいても中国チームが1位、2位、4位となった。
日本チームはU23とジュニアで構成されたチームであるから、そのままの評価にはならないが2011年、2012年と連続して獲得していた王座を奪われる結果となった。

特筆すべきは優勝した中国チームの選手たちの体格だ。
ジュニア選手であっても身長が男子であれば170㎝以上、女子でも165cm以上の選手を揃えてきた。
体格面では日本選手より1~2サイズ大きい選手だ。
本腰を入れて強化に取り組んだとき日本チームにとっては大きな障壁となるだろう。

そして香港チーム。
カナダから有力なコーチを招聘し「挨拶」「礼儀」から学ばせ直している。
西洋的なスポーツ理論と東洋的な精神論のバランスを尊重する指導は、われわれ日本チームの指導者と共通するところ。
香港チームの動向も見逃せない。

オリンピック翌年だからこそできる思いきった方向転換。思い切ったチャレンジ。
日本チームも2016年、2020年に向けて新たな強化策を打ち出しスタートさせた。
この方策が上手くゆくかどうか。
途中でコロコロ方針を変えることなく貫き通すことが最も重要だ。

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【写真1】

アジア選手権ジュニア女子の優勝者は、2012年世界ジュニア王者の松本文佳。

表彰台の真ん中に立つ彼女と、2位、3位の表彰台に立つ中国選手の体格差に注目してほしい。

DSCF8855 TRI-X【写真2】
2016年リオデジャネイロ・オリンピックでの採用を目指すリレー種目。
中国チームに一矢報いた「チームJAPAN Ⅰ」。
左から小原すみれ、谷口白羽、松本文佳、古谷純平。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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