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第97回コラム「次代を担う者たちへ」

5月末、オリンピックを狙う選手たちにとってのレースが一つの節目を迎えた。
そして6月。次のオリンピックを目指す選手達の熱き戦いが各地で行われた。

6月3日、天草大会。U23選手にとっては世界選手権代表選考レース。
6月10日、蒲郡大会。同じくU23選手の世界選手権代表選考レース。そしてジュニア選手にとっても世界選手権代表選考レース。
6月17日、U23日本選手権・酒田大会。優勝者はそのまま世界選手権代表選手の資格を獲得できる。
6月24日、WTSキッズビュール。U23日本のエース・高橋侑子が初参戦。
6月29日、世界学生選手権。学生選手が世界の舞台に挑む。
7月1日、復興の地で七ガ浜スプリントが開催。ジュニアランキング対象レース。
7月8日、大阪舞洲大会はU23選手にとっての最後の世界選手権代表選考レース。

雨、暴風、灼熱と様々な気象条件の中で戦いは繰り広げられた。
残すジュニア日本選手権・長良川大会の結果により、本年10月に開催される世界選手権オークランド大会の、U23とジュニアの代表選手が確定する。

次世代を担うU23&ジュニア選手などオリンピックを夢見る選手たちには、このロンドン五輪を観客として観戦してほしくない。
他人の話ではなく、自分自身が出場した場合を想定しながら応援してほしい。
オリンピックとはどういったものなのか、その雰囲気は、その時に掛るプレッシャーはどれほどのものなのか、勝負を分けたのは何か、自分であればどう動くか。
そういうイメージを明確に持てる選手ほど、到達までの距離は縮まってくる。
そして「次は自分が戦う!」という強い意志をもってほしい。
そこでは中途半端な選手では通用しない。
誤魔化しでは相手にもされない。
ホンモノだけが戦うことを許された場所なのだ。

我々JTUは「オリンピックに出場できる選手」を育成しているのではない。
「オリンピックで勝てる選手」を育成しようとしているのだ。

観て楽しむオリンピックも素晴らしい。
だが自身が戦えるオリンピックは、想像できないほど苦しく、楽しく、そして素晴らしい。

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【写真1】6月は試練の5連戦。初の世界選手権シリーズ・キッズビュールでは自分のレースはさせてもらえなかった。
とはいえ日本のU23世代を圧倒的な強さでリードする高橋侑子。同世代の佐藤優香と共に、世界への本格的な挑戦が始まる。

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【写真2】世界学生選手権では男女とも団体2位に入る。
出場選手に、学生(アマチュア)とエリート(プロ)の違いはあるものの、海外で好成績を収めることは重要だ。
日本の学連も更に強化にチカラを入れてくれるに違いない。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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