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第96回コラム「ロンドン・オリンピック。4度目の挑戦。」

第30回ロンドン・オリンピックへの日本代表が決まった。
上田藍、足立真梨子、井出樹里、細田雄一、田山寛豪の5名だ。トライアスリートであるならば既に知っているだろう。

女子はメダル獲得、男子は8位入賞を掲げ、ここまで活動してきた。
非常に高い目標ではあるが選手も指導者も実現可能な目標として強化に取り組み、ここまでやってきた。
女子における「メダル獲得」という意味をどれだけの関係者が理解してくれているか。
3位以内ならば目標達成、4位では失敗という意味。
そしてこの目標がもたらす大きなプレッシャー。それを理解しておくことが重要だ。

選考段階では、「オリンピック出場」を目指す選手、「入賞」ならば高確率で可能な選手、「オリンピックにチャレンジしている」というポーズだけの選手、さまざまな選手が存在した。最終的には「メダル獲得」をリアルに感じた選手が選考されたといえる。
男子も同様だ。世界の大舞台で「入賞」を実現できる可能性を示した選手が選考されたのだ。
ライバル選手に競り勝って代表の座を獲得した選手たちには、敗れた選手の夢をも背負って戦ってほしい。そういったライバルの想い、応援者の想い、自身の夢、その全てを背負って戦う。それがオリンピックでの戦いでもある。
だからこそ選手は1人では戦えない。チームJAPANという大きな仲間と共に進んでゆくことが必要となってくるのだ。

6月3日NHKサンデースポーツに上田、足立、井出の3名が出演した。
お互いがライバルとして尊敬し合い、そして負けてはならない相手として認め合い、敵であり仲間でありチームJAPANとして世界に挑もうとするその姿は、一つの理想的なチームの形だと考える。
男子も同様だ。アジア選手権において僅差で田山を倒した細田。その細田すら出したことのない、日本選手の過去最高の結果(WTS7位)で代表権を獲得した田山。お互いがお互いを高め合うライバルが、目標達成には不可欠なのだ。ライバル選手の存在こそが目標達成への近道になることを選手達は証明してくれた。

女子は8月4日、男子は8月7日にその答えが出される。4度目の挑戦で、夢の目標から、実現可能な目標となった今回。
あとは結果だけがここまで積み上げた努力を証明することになる。

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【写真1】土壇場で底力を見せた田山。負けはしたもののアジア選手権でも土壇場で底力を見せてくれた。
「覚悟」を決めたときに田山の本領は発揮される。

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【写真2】最後の最後まで勝負を挑んだ2名。左・下村幸平、右・杉本宏樹。
無謀とも思える夢を掴もうとする「しつこさ」を評価したい。
こういう選手の存在が日本のレベルを高める。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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