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第93回コラム「2012年、始動!」

気が付けば2012年も2月。
怒涛のごとく12月から2月までが過ぎ去っていった。
オリンピックを目指す選手にとっては更にリアルに感じただろう。既にオリンピックに手が届く選手は絞られている。
このオフにどれだけ身体を回復させ、どれだけトレーニングをし、そして開幕に備えることができるか。
そこでしっかりとした意識を作り上げ、トレーニングをした選手のみが生き残る。
オフシーズンの意味は「レースがオフ」。
この時期が「トレーニングのオン・シーズン」となるのだ。レースが開幕したときに、「あのときもっと頑張っていれば」では遅過ぎる。
それは既に敗者のセリフ。
現実問題、どれだけトレーニングしても不安感を拭い去ることは難しい。
だからこそ、その時その時にできる「ベスト」を尽くすしかないのだ。
単純に身体のトレーニングだけでは無意味だ。
そこには「心」が伴っていなければならない。

無茶苦茶なトレーニングは故障の原因にしかならない。
99%では手抜き。101%は、やり過ぎ。
人間がやることだから数字でハッキリ区切ることはできない。
体調にも左右される。
だがこれを可能にするために指導者が存在し、選手のギリギリの真剣勝負をサポートするのだ。

しかしながら我々は目の前のことばかりに気を囚われてもいけない。
既に2016年も視野に入れた強化活動も進めなければならないのだ。
過去11人の日本人オリンピアンが作り上げてきた、日本の歴史を引き継ぐ選手。
新たな時代のドアを開けてくれる選手の育成も急務なのだ。

大きく時代を遡れば、日本サッカーがワールドカップで勝つことはおろか、出場することすら至難の技だった。
日本人ロードマン(自転車選手)がツール・ド・フランスに出場することなど不可能と言われてきた。
「不可能」「無理」と言われてきた常識を覆したのは、選手自身の強烈な想いと指導者の熱い情熱によるものだ。

先輩が結果を残し、後輩がそれを乗り越えてゆく。
これが正しく進めることこそ本当の強化であり、それが正常に作動したときに日本は世界でその存在感を示すことができる。
日本人トライアスリートが世界で羽ばたくためにも、今年は大きな勝負となるのだ。
全てのトライアスリートの応援を期待したい!!

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【写真1】
JOCタレント研修会。
種目に限定せず子供のころに様々な競技を体験することは大切だ。
その経験が数年後、専門種目に進んだときに役立つことは多い。

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【写真2】
山本光宏率いるチームJ-beat。
チームメンバーの戦いが終わったあとは、日本チームの応援をサポートしてくれた。
応援こそが選手の闘志を盛り上げ、折れそうな心を支える。

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【写真3】
「吾唯足知」と書いてある。「われ ただ たるを しる」と読む。
京都の龍安寺にある(知りたい人は自身で調べてほしい)。
今の自分の置かれている環境に感謝して取り組めない選手は最後の一線を越えられない。

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【写真4】
一方、選手にとってもう一つの不可欠な要素「ハングリー精神」。
代名詞はこのお方。
「ハングリーであり続けろ」というスピーチは有名。
「吾唯足知」と「ハングリー精神」の違いを理解しておく必要がある。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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