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第221回コラム「40年の歴史。思い出に残る大会5選。」

2025年。
1981年にスタートした皆生大会は別格として、日本のトライアスロン元年ともいわれる1985年から40年を経過した。
新型コロナの影響で休止した時期もあるが、宮古島大会、天草大会は40周年を迎えた。
長良川大会、伊良湖大会、徳之島などもまもなく40年。
アストロマン(佐渡島)、秋田象潟、伊是名などの大会も35年以上続く歴史ある大会となった。

しかし同時に開催できなくなった大会も少なくない。
道路事情や経済事情、それぞれの場所にはそれぞれの理由がある。
エリートで戦っているときはワールドポイントが重要であり、世界大会での順位が重要であり、勝つため、より良い結果を残すため、ポイントを獲得すること以外は関係なかった。
40年経過した今、改めて思い返してみると「参加していて良かった」と思える国内大会も数多くあった。
今回は、その中ですでに開催が中止されてしまったレースで心に残る5レースを紹介する。
再開された暁には是非、参加を検討してみよう。

1つ目は「ワールドトライアスロンinひろしま大会(広島県)」。
江田島の海上自衛隊学校をスタートするスイム。
そしてバイクは日本屈指のハードでスリリングなコース。
ランにおいても螺旋形状の音戸大橋を走ることができ、呉市のど真ん中でフィニッシュという今となっては実現不可能な驚くべき、素晴らしいコース設定だった。

2つ目は「ジャパントライアスロンシリーズ日本平大会(静岡県)」。
1987年1回だけの開催だった。
名勝・三保の松原をスタートし、ランフィニッシュが日本平の頂上という設定。
日本平頂上まで駆け登るランコースは本当に面白かった。
フジテレビがレース全てを放映するほど力の入った注目度の高い大会だった。

3つ目は「日本海オロロンライン大会(北海道)」。
バイクが200kmを超える設定。
オロロンラインの絶景を楽しめる、がセールスポイントだったが2006年第20回大会をもって終了した。
自分がプロを引退した後に出場したもっとも長い距離の大会だった。
バイク競技中に15分の昼寝をしてしまうという現役時代ではあり得ない状況になったことも強く心に残っている理由だ。

4つ目は「みやじま国際パワー大会(広島県)」。
2023年に終了。
世界遺産・厳島神社の鳥居の下からスイムスタート。
そしてバイクは登りオンリー。
坂の斜度も厳しくギア設定を間違えると「歩く」ことになる。
見栄を張って現役時代と変わらぬギア比でスタートした結果、大惨事に。
クライマーにとっては超の付く楽しい大会だった。

5つ目は「伊豆大島大会(東京都)」
世界選手権への選考レースとしても開催されたことがある。
島を一周するバイクコースは圧巻。
登りも厳しいが、長い下り坂においてはテクニックで集団を引き離すことができる「バイクの強い選手、技術の高い選手」が活躍できるコース設定。
当然、落車も発生するため一瞬たりとも気が抜けない、しかし楽しいコースだった。

改めて見直すと「バイクコースがハード」であることが私のおススメのキーワードだと感じた。
強いトライアスリートはどんなバイクコースであっても走れるパワーとテクニックが必要との考えを強く持っていたことが理由の一つかもしれない。
日本のトライアスロン界においては「バイクの強い選手」ではあったが、ツール・ド・北海道やツール・ド・沖縄において自転車専門選手と走れば「並以下」の選手でしかなかった。
今のエリート選手にも自転車ロードレースに参戦して自身のレベルを確認して欲しいと考える。

次回のコラムでは、今でも参加できるお勧めレースを紹介したい。

 

【写真1】
10月5日に開催された川崎港大会in東扇島。
川崎市議会の青木のりお議員(左)と井戸清貴議員(右)が51.5kmレースに参戦、そして完走。
レースを裏からサポートしてくれ、そして自らも参戦し大会を盛り上げてくれた。

青木議員&井土議員

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【写真2】
長年に渡り伊良湖大会を支える某飲料スポンサー。
乾杯はこの飲み物で行うことも伊良湖大会の伝統とのこと。
健康的だ!

ヤクルト
 

 

 

 

 

 

 

 

 

中山俊行プロフィール


中山 俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

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