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第220回コラム「飛び出せ、ニューパワー」

夏休みが終わった。
8月は暑さのため、国際的にも国内的にもそれほど多くの大会が開催されない。
そのため選手にとってはシーズン後半戦に向けた貴重なトレーニング期間となる。
前半戦の反省点を修正し、後半戦に向けレベルアップ、パワーアップするために合宿を行う。

学生選手にとっても夏休みは落ち着いて練習ができる期間。
高校生、大学生にとっては強化の時期となるが、中学生や小学生にとってもトライアスロンにより深く接し、基礎から学ぶことができる時期となる。
恒例の長良川でのユースキャンプ(中学生対象)、昨年より新たにスタートした倉敷でのユースキャンプ(小学生対象)、またトライアスロン体験会なども開催され全国各地域で強化・普及のための活動が進められた。

その成果は9月からのレースに現れる。
8月最終日曜日、東京海の森で開催された高校生選手権。
事前から下馬評に上がっている選手がその実力を示す。
表彰台に立った選手たちのレースは、結果ばかりでなく、その戦い方も評価できる内容だった。
8位までに入賞した選手の中には想定外の選手も居る。
これは非常に嬉しいことだ。
伸び盛りの高校生選手たちの実力が上がってきていることを感じさせてくれた。

エリートにつながる次世代選手。
7月末のU19選手権/U23スプリント選手権で実力を発揮した選手が1か月の期間を経て、どれぐらい化けることができたか。
アジア選手権(トルコ・イスタンブール)や大学選手権でその片鱗を見せてくれた。
もちろん撃沈することもあるが、単純に結果だけではなく「勝ち方」「負け方」「取り組み方」を観ることで、その次への可能性が見えてくる。
JTUの示す次世代選手やタレント選手といったカテゴリーに名を連ねている選手には是非とも「世界に挑む心」をもって取り組んでもらいたい。

日本のエリート選手は弱くない。だが強くもない。
だが世界の進化は驚くほど速い。
その事実を認め、それを打ち破るために何が必要か、何をしなければならないか、何を身に付けるべきか。
固定観念を打ち破ること。
既成概念をぶち壊すこと。
基本を重視しながらも、様々なことに挑戦してゆくこと。
普通に活動をしていても世界には追いつくことはできない。
常識を打ち破り、挑戦してゆく強い心が必要だ。
非常識な選手が新たな扉を開くだろう。
既成の常識に囚われていないニューパワーの飛躍を期待する。

 

【写真1】
我らが世代のスーパーヒーロー「長嶋茂雄・元JTU会長」。
日本球界の常識を破るヒーローだった。
1985amakusa_長嶋会長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【写真2】
うつくしまオープンウォーター&アクアスロン。
土曜日がオープンウォータースイム、日曜日がアクアスロン。
今までにない形式、2日連続で楽しめる大会として第1回が開催された。
うつくしまアクアスロン2

 

 

 

 

 

 

 

 

中山俊行プロフィール


中山 俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

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