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第219回コラム「どうなる学校の部活動」

小中学校、高校の先生の業務が過大に増えて、なり手が減少している。
無責任な保護者が増えて、何でもかんでも学校のせいにしている。
モンスターペアレントへの対応で先生が病んでしまう。
逆のパターンもある。
先生がサラリーマン化してレベルが低下し保護者から懸念の声が上がっている。
昨今のニュースを賑わしている。

先生の良否、保護者の良否を問うているのではない。
ここで伝えたいこと、考えたいことは学校部活動の将来。
スポーツに限らず文科系の部活動においても上記の課題は当てはまる。
高校・中学生の部活動を継続するために外部指導者の招聘や、部活そのものを外部に委託する、人数の少ない学校が合同で部活動に取り組むなど様々な方法が検討されている。
だが費用、事故時の責任、学校から外部施設への移動中の事故防止。
クリアすべき課題は多くなかなか進まない。

「健康のために運動しよう」
「健康寿命を延ばそう」
「運動することで身体を鍛え、そして長生きを。」
掛け声は上がる。

しかし現実は
「暑さが厳しいためにスポーツ活動は禁止」
「熱中症のリスクがあるから外には出ないように」
「子供が疲れてしまうので、運動などせず勉強しよう」
冬の場合も、ウィルス感染を防ぐため、寒さで体調を崩さないために外出は控えよう。

非常に大きな矛盾を抱えてしまっている。
この矛盾ある方針の中で学校の先生に責任を負わせ、判断をさせることは難しい。
言っていることは正しいが、保護者の考え方、学生の考え方はそれぞれ異なる。
Aと判断すればクレームが発生し、Bと判断すればクレームが発生する。
それならば部活そのものを無くしてしまうことが良いのでは、という発想になっても不思議でない。

何のための部活動か、誰のための部活動か。
安全とはどのようにして身に付けるのか。
生命にかかわるようなことを避けることは当然ではあるが、学生のときに経験しなければ分からないことはたくさんある。
・失敗は成功のもと
・挑戦しないことが最大の失敗
・No Pain, No Gain.

大人になってから失敗することは相当な恐怖があると思う。
だからこそ学生時代にさまざまな挑戦をし、成功し、失敗し、経験を積んでゆくことが重要だ。
学校そして部活動は小さな社会だ。
礼儀、作法、頑張ること、時には打ちのめされ、時には投げやりになり、時には失望する。
だが、その経験から学ぶことは多い。

先生のオーバーワークは避けなければならない課題。
外部発注の際の費用は大きな課題。
だが部活動がなくなることは多くの学生たちの人生における学びのチャンスを失うことになると考える。
体験格差という言葉まで生まれてしまう中で、スポーツや部活を行うことの意義は大きい。
継続は最大の力なり。
どのように継続してゆくかを一緒に考えて欲しい。

 

【写真1】
迷わず行けよ、行けばわかるさ。
アントニオ猪木の墓にも刻まれている。

inoki

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【写真2】
長良川・中学生大会後のユースキャンプ。
数々の課題に直面するが、選手が満足してくれることが最も嬉しい。
そしてトライアスロンが好きになってくれると更に嬉しい。

2025ユースキャンプ_ラン1

 

 

 

 

 

 

 

 

中山俊行プロフィール


中山 俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

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