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第75回コラム「ナショナルチームを乗り越えろ」

日本を代表するトライアスリートの集団。それが「ナショナルチーム」。
読者の皆さんは、どんなイメージを持っているのだろう。「強い」「速い」は当たり前。スポンサーが付いていて、レースで賞金稼いでお金持ち。これはちょっと間違い。生活費に、活動費、宿泊費に旅行代、食事代、治療費、用具代、合宿代と強くなるほど経費は増えてゆく。自己投資するので、大金持ちには程遠い。

ナショナルチームとは、世界で戦うことを目指す選手にとっての目標でなければならない。「夢」を与えるチームとなるよう活動してゆく必要がある。そのためには実力ばかりでなく人間性も求められることになる。

ナショナルチームを支える競技団体や指導者にも多くを求められる。強化委員会の中に「オリンピック対策プロジェクト」を立ち上げた。本気で「メダル獲得(女子)」、「入賞(男子)」を目指すためにスタートした。まだ活動は開始したばかりで不完全であることは間違いない。このプロジェクトも、これからその真価が問われるだろう。

だが我々も、これを成功させずして世界で戦う日本選手を作り上げることは不可能だ、という背水の覚悟をもって臨んでいる。
今後、選手にも指導者にも高い目標と結果が求められてゆくことになる。

ナショナルチームの基準を明確化し、その基準をクリアすることは最低限のルールであるが、それだけでは意識の高いチームは作れない。選手自身やその指導者の目指す目標が同じでなければチームは成立しない。
簡潔にいえば「日本代表を目指す選手は不必要」という意味だ。「オリンピックに出たい」「世界選手権出場が目標」という選手も不要だ。そもそも「メダル獲得(女子)」「入賞(男子)」という主旨から外れている。それは指導者にも当てはまる。本気でメダル獲得を目指すか否か、選手ばかりでなく我々全員が問われているのだ。

メダル獲得ってどんなレベルだろうか。入賞ってどんなレベルだろうか。
具体的な目標となる日本選手が存在する今こそ本気で目指して進んでほしい。

全ての面でトップと呼ばれる選手を上回ることは難しい。
だが自信を持っている己の武器が一つでもあれば、そこから突破口は開けてくる。その武器を携えてナショナルチームに殴りこんできてくれ。「我こそは」と思う選手の出現を待っている。ナショナルチームを超えろ!! 目指せ、オリンピック・メダル!!!

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(写真1)
メダル獲得を口にするのであれば、この選手に勝つことが条件だ。彼女の武器はランニングではない。「勝利への執念」こそが彼女の最大最強の武器なのだ。自分が最強だった時期に、性別を同じくして戦いたいと思わせる選手だ。現日本王者・井出樹里。

(写真2)現日本王者・田山寛豪

(写真2)現日本王者・田山寛豪

(写真2)
昨年とは別人のように輝き始めた。やっと本来の強さを取り戻したこの男。ここからが彼にとっての本当の勝負だ。現日本王者・田山寛豪。

(写真3)

(写真3)日本ナショナルチーム・メンバー

(写真3)
2010年1月時点での日本ナショナルチーム・メンバー。ここのメンバーに割り込み、そして倒すことがオリンピックでの勝利へとつながってゆく。
今年6月からオリンピック・ポイントを賭けた苛烈な競争が始まる。

(写真4)

(写真4)

(写真4)
共同生活の中で、意識を高めてゆく。ライバルこそが最大の敵であり最大の友である。技術面以外での強化がより求められてゆく。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本の
トライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタート ライアス
ロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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