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第205回コラム「どこに向かって進むのか」

トライアスロンのトレーニングには時間が必要。
仕事を持つビジネスアスリート、学業と両立させようとする学生アスリート、夢と希望に燃えるジュニアアスリート、自身の常識を打ち破らんとするシニアアスリート。
トライアスロンを生涯スポーツとして選び、挑戦し続ける多くのアスリートたち。
更には、競技には参加しなくても、TOやボランティアとして後方から競技を支えてくれるスタッフたち。
人口が減り、子供の数も減ってゆく中、トライアスロンというスポーツに係わる多くの人たちがいる。
本当に嬉しく感謝するばかりだ。
だが「時間が必要」という悩みは全員に共通するだろう。
 

エイジ選手にはエイジ選手それぞれの目標がある。
エイジランキングを目指す選手もいれば、自己ベストを目指す選手、厳しい基準をクリアして完走を目指す選手。
仕事や学業、家庭や会社、怪我や故障、それぞれの事情をクリアして、自分の生活の中にあるハードルをクリアして競技に臨む。
「速い・遅い」「勝った・負けた」だけでは量れない、偉大な挑戦だ。
 

だがエリートとなると少し様相が変わる。
JTUの登録上の「エリート」や「プロ」の話をしているのではない。
何をもって「エリート選手」といえるのか。
何をもって「プロ選手」といえるのか。
応援者や協力者の想い、自己実現達成のための行動、目指すべき高い目標。
それを支援するために使われる金員。
これらを理解できているのか疑問に思う場面が多々ある。
 

エイジ選手にも平然と敗れる自称プロ&自称エリート。
トップ選手といえども負けるときは負ける。
だがプロやエリートを名乗るのであれば相応の戦いをしなければならない。
敗れることはやむを得ない。
だがそれを当たり前とし、敗因を他人のせい、環境のせいにする。
レースにおいてもトップ選手とは思えない中身の薄い戦い方をする。
「この選手は何を目指しているのか」
疑問に思う場面は少なくない
 

オリンピックを狙います。
本当に嬉しい宣言であり目標設定だ。
では、その目標に向かって本気で努力をしているだろうか。
小学生が「将来の目標はオリンピックで金メダル」と語ることとは大きく異なる。
本気で世界で戦う、世界の大舞台での勝利を目指すのであれば、それなりの行動をとらなければならない。
言葉に出すなら、それを行動で証明してもらう必要がある。
 

もちろん全員が達成できる目標ではない。
どこに向かって進むのか、どこを目指して進むのか。
行き先がはっきりしている選手ほど強くなれる
本気か否か。
ホンモノか否か。
自分自身に嘘をついても何も始まらない。
 

【写真1】
日本のトップレースに挑み続ける男子・外山高広選手。
「プロ」ではないが、紛れもない「エリート選手」だ。
彼がなぜトライアスロンに挑み、そしてどこを目指しているのか。
ブレない目標が彼を進化させ続けている。

外山高広

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【写真2】
関東ブロック選手権フィニッシュ後の女子エリート・丹野恵梨香選手。
間違いなく「強い選手」だ。
まっすぐ進む、その取り組み姿勢が彼女の強さだ。

丹野恵梨香

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中山俊行プロフィール


中山 俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

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