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第203回コラム「指導者(先生)の危機!」

最近なにかと話題となるハラスメント事象。
それぞれの主張が異なるために様々な事象が問題化されている。
直近では文章の最後に「。」をつけることは威圧的とも言われている。
時代が変われば文化も変わる、のかも知れないが理解に苦しむ事象も少なくない。
ハラスメント・ハラスメントの略称「ハラハラ」もそのひとつ。
自分の常識のみを貫き、自身が正義で他人が悪、気に入らなければ訴える。
社会の崩壊にも結びつき兼ねない危機的な状況だと感じている。

長年に渡りハラスメント事象が絶えないスポーツ界。
関係各位の努力もあり少しづつ改善されてきている。
指導者の力が強く、選手の力が弱い状況下では選手を守るシステムが必要。
そのため各競技団体においては通報や相談の窓口が設置されるようになった。
選手を守るための環境は整備されてきたことは誠に喜ばしい。

だが「指導者が悪」との意識が強過ぎるあまり、今度は選手に問題があった場合の対応が必要になってきている。
学校でも気に入らない先生を追い込むために、ハラスメントという言葉を用いて生徒が好き勝手に振る舞う、部活やスポーツを指導する団体においても気に入らない指導者を追い込むためにハラスメントという言葉を用いて自分に都合よい状況に持ってゆこうとする事態も発生してきている事実がある。

では指導者や先生を守る方策は進んでいるのだろうか。
こちらはほとんど対応が進んでいないといえる。
選手・生徒の言い分を十分に理解することは重要ではあるが、指導者・先生サイドを守る方策を準備しておくことが今後求められていく。
そうでなければ教鞭をとろうとする者、指導をしようとする者は存在しなくなるだろう。

指導者の質を向上させるため「学ぶことを辞めたら指導することを辞めなければならない」という言葉を取り上げ、意識を高めようとする講習・レクチャーが開催されることは必然。
同時に選手の質も向上させてゆく必要がある。
選手へのコンプライアンス指導に力を入れている競技団体も少なくない。
選手も自己主張をするばかりではなく、継続的に学んでゆかなければレベルアップは望めない。
結局、指導者自身、先生自身、選手自身の全員が学び続けなければならないということだ。

なんでもかんでもハラスメントで訴え、叫び、済まそうとする感覚はスポーツ界のみならず社会が崩壊する原因になり兼ねない。
だが一番の問題は、そんな状況にまで陥ってしまった現状だ。
国をリードする人たちの中においても「自分だけが良ければ」というスタンスで活動している異常さ。
自分に甘く他人に厳しい。
自浄作用があるのか否かも判らない。
その姿にはガッカリするばかりだ。

「正しい」の意味さえ曖昧になってきているが、それでも読者各位には「正しく生きていってほしい」と願っている。
もちろん私自身もそうありたい。

 

【写真1】
WTCS横浜決戦。
ニナー賢治選手がオリンピック選考の基準をクリア。
1枠目を獲得した。
男子2枠目の争いは5月25日のイタリア・カリアリに持ち越された。

Yokohama_Kenji

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【写真2】
東京2020オリンピックを一緒に戦った岸本新菜選手が引退表明。
怪我・故障と闘いながらここまで踏ん張ってくれた。
競技をすぐに辞める訳ではないが、自分の中で大きな区切りをつけた。
ただただ「ありがとう」と伝えたい。

Yokohama_Niina

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中山俊行プロフィール


中山 俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

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