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第201回コラム「目指すのは、どこ」

2024年、今年はパリオリンピックの年。
日本代表の座を獲得するのは誰か。
トライアスロン以外の各競技においても最後の戦いが始まっている。
すでに代表の座を獲得し、本番に向けて準備している選手・チームも少なくない。
だがトライアスロンの場合は5月までのレース結果が反映される。
世界ランキング上位の選手や昨年のパリ・テストレースの結果などで出場資格を獲得している選手はそれほど多くはない。
WTCS横浜まで熾烈な戦いが続いてゆく。

だが我々の目的は「オリンピック出場」ではない。
メダル獲得が最大目標であり、少なくとも入賞がミニマムな目標なのだ。
そのために東京オリンピック以降にも積極的な活動を進めてきた。
その結果は、成功か不成功かの結論は8月に出る。

「我々」と記載したが、実際のところ選手はどのように考えているのだろうか。
もちろん出場権を獲得することが第一ステップであることは誰もが理解している。
出場できなければ目標達成などあり得ないのだから。
だがメダルや入賞を本気で目標に掲げている選手はどれだけ存在するのだろうか。
インタビューでは「メダルを目指します」とコメントするだろう。
いや、そうコメントせざるを得ないのが日本代表となった選手の宿命だ。
「頑張ります」「ベストを尽くします」では世間が納得しないからだ。
本気で目指している選手、形式的に答えている選手。
選手を批判することは簡単だ。そんなことは重要ではない。
重要なことは、本気で、心の底から目標達成を目指す選手を育成してきたか。
選手がそれを目指せるようにサポートできたか。
選手の目指すところは入賞なのか、メダル獲得なのか、それとも出場なのか。
さらには目指しているフリをすることなのか。
そこが問われる。

どの競技においても、もはや選手個人の力だけでは目標達成はできない。
それを指導し、支援し、応援し、運命共同体として活動するサポーターが必要なのだ。
競技の結果はそれを支える者たちの姿勢も大きく影響する。
競技結果が良ければ、それは選手の努力の賜物。
競技結果が悪ければ、支援する我々の努力の不足。
さてどのような結果となるか。
8月のパリオリンピックに期待したい。

【写真1】
WTCS 横浜大会、始動。
第1回大会から尽力頂いている大会関係者。
大会の難易度はバイクコースが赤レンガ倉庫内を走るか否かで決まる。
パリへの大きな大会となるだけに、今年こそは良い天候のもと、ハイレベルなコースで選手が戦えることを願う。

WTCS横浜_大久保&西山

 

 

 

 

 

 

 

【写真2】
自転車競技ロードにおける最高レベルの指導者による集団走行安全講習会。
若手トライアスリートも参加。
私も実走参加したが、バイク集団走行レベルを向上させるために非常に有効な講習会だった。
トライアスリートのみならず自転車専門選手においてもヨーロッパのレベルに追いつくためには、今回のような
テクニカルなトレーニングをし実践、ナチュラルに実行できるようにしておくことが必要だ。

BIKE講習会2401

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中山俊行プロフィール


中山 俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

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