スポーツ界における不祥事がニュースで取り上げられる。
競技団体や指導者に問題があることは少なくない。
だが選手に問題があることも同じくして少なくない。
現代社会の難しさを反映しているのだろうか。
政治の世界における不祥事もスポーツ界同様に、常にマスコミを賑わしている。
自浄作用が働きづらいということが大きな課題の一つだろう。
だからこそ各トップの資質が問われる。
スポーツ現場であれば指導者の質が問われる。
同時にそれに関わる関係者の資質も問われる。
だが指導者、テクニカルオフィシャル(TO)は、その業務だけで生活はできない。
そのため協力してくれる個人の資質に頼るしかないことが現実だ。
今日まで指導者の数を増やすこと、TOの数を増やすことを目指してきた。
大会を正しく運営し、選手のレベルを上げることが安全に直結するためだ。
JTUとしても講習会、研修会、ローカル大会での実戦を通じて尽力をしてきた。
一定の効果は上げることはできたと感じる。
なぜなら意識の高い指導者やTOが出現してきたからだ。
だが同時に意識の低い方々も多く生み出してきてしまった。
大会をみていても「何をしているのか判らない」「何をしようとしているのかも判らない」「何がしたいのかも判らない」、そういった方々が存在している。
本人的には「俺はできている」「俺はわかっている」と思っているのかもしれないが、そういった方々ほどレースにも、大会にも、大会運営にも貢献していない。
競技ルールをちゃんと理解しているのかも疑問だ。
もちろん毎年微調整が行われる競技ルール、運営ルールを全て把握することは容易ではない。
かくいう私も全てを理解しているとは言い難い。
だからこそ知るための努力、学ぶための努力は継続してゆかなければならない。
JOCが毎年行うナショナルコーチ・アカデミー。
最初に教えることはロジェ・ルメール(Roger Lemerre)氏の言葉。
「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない」
これを実践できているか否かが大きなポイントだ。
年齢を重ねると学ぶ機会も減るし、教えを乞うことに照れを感じることもあるだろう。
また年下に言われることは自身のプライドが許さないことも理解はできる。
だが自身を磨き上げるために「謙虚な心」「感謝の気持ち」は常に持ち続ける必要がある。
一人でも多くの方々に「有能な関係者」になって欲しいと考える。
【写真1】
トライアスロンを始めると同時に辞めてしまった剣道。
今、なぜか再開することに。
地域レベルの競技会においては、残念ながらルールを熟知していない審判、コンプライアンスの意味を理解できない関係者が存在する。
迷惑をこうむるのは結局、選手だ。
中央の意思を地域までどのように伝えてゆくか。
どの競技団体にとっても大きな課題だ。
【写真2】
JTUにて作成したバイクの基礎動画。
今一度、確認してほしい。
エリート選手のみならず、トップエイジ選手、ジュニア選手は「実行できて当然」となってほしい。
中山俊行プロフィール
中山 俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。
【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督