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第198回コラム「リニューアル、オールキッズ大会」

新型コロナの影響で3年間の空白期間を経てオールキッズ大会が戻ってきた。
場所は東京都立川市から栃木県真岡市の井頭公園へと移された。
小学生と中学生が全力でトライアスロンに挑む大会。
天候には恵まれたが、恵まれすぎて暑さが厳しい。
熱中症には細心の注意を払い、ノーアクシデント&ノートラブルでの開催を目指した。

さて今回の大会。
各年代の表彰を行うか、行わないか。
熱く論議が交わされた。
若年層のやりすぎを避ける。
子供ではなく保護者や指導者が過熱しすぎることを避ける。
勝利至上主義となり、礼節やルール遵守を忘れて競技に臨むことを避ける。
様々な議論ののち、本年は表彰式を行うことで決定がなされた。
表彰を行い選手のモチベーションを上げることが優先か。
それとも正しい取り組み方を学ばせ、人間性を構築することが優先か。
どちらの方法にも十分な理由はある。

さて80−90%の選手や関係者はフェアプレイの精神をもってレースに臨んだ。
だが前回のコラムでも書いたが残念な選手・関係者はやはり存在した。
ここに至ってはキッズ選手の問題としてだけではなく、保護者・指導者の問題だ。
バイクコースの試走は禁止だと判っているのに、子供にコースを走らせる関係者。
他人の迷惑を考えずに自分の選手のことだけを考え行動する関係者。
それを注意しようとも、辞めさせようとしない関係者。
勝つためにドラフティングという反則行為に手を出してしまう選手。
更には自分の思い通りにならないと誰彼構わず当たり散らす関係者。
とても残念であり、見ていて悲しくなる。
オールキッズ大会は誰のための大会なのだろうか。
関係する全員に今一度考えて欲しい問題だ。

さて、そんな悲しい一面を見せながらもキッズ・アスリートは熱い戦いを繰り広げる。
一生懸命、全力を尽くすその姿は心を躍らせる。
純粋に全力で戦う選手たちは、「勝った」「負けた」の結果だけではなく、頑張った選手をしっかり褒めてあげてほしい。評価してほしい。
トライアスロン競技においてトップアスリートになってくれれば嬉しいことこの上ないが、そこに固執せずとも将来、大きな心を持つアスリートになって欲しいと思う。
リニューアルしたオールキッズ大会が無限大の可能性を秘めたキッズアスリートの育成の場となってくれることを願う。

 

【写真1】
新たなオールキッズは井頭公園「一万人プール」からスタートする。
2024年以降、さらに盛り上げてゆくためにもキッズアスリートの安全は最優先としたい。
参考記事URL:
https://news.yahoo.co.jp/articles/03a57671369ec0685b490145d3e14fe944834e49

オールキッズスタート

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【写真2】

ツール・ド・北海道において悲しい事故が発生してしまった。
バイクは自身の命を乗せて走る自分の分身。
しっかりと整備しておくことは事故を防ぐためには重要だ。
ユース合宿ではバイクメンテナンスの講習を入念に行なった。

バイクメンテ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中山俊行プロフィール


中山 俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

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