TOP > 連載コラム > トシ中山の「渾身の一撃」 > 第197回コラム「未来を背負う選手たちの戦い」

第197回コラム「未来を背負う選手たちの戦い」

日本U19 選手権、日本U23スプリント選手権、そして全国中学生。
岐阜県海津町にて7月19日に開催された。
1986年から始まり37年の歴史をもつこの大会。
コースは変われど暑さは変わらず。
今年も厳しい暑さの中で開催された。

日本U19選手権/U23スプリント選手権は同時スタート。
スイム、バイク、ランの3種目でフラットなコース設定。
単独で逃げるには厳しいコース。
そのためスタートから焦る気持ちは理解できる。
だからといってルール違反は頂けない。
残念なことに女子においてはスイムスタートのマナーがかなり悪かったようだ。
昨今、「スポーツマンシップとは何か」が問われている。
東京オリンピックに関わる大人たちの不正によりイメージが悪化しているとはいえ、選手においてはフェアプレイの精神は、心の中心において欲しい。

ルールが守られない。
マナーが悪い。
これは選手だけの責任ではない。
私を含む指導者や関係者の指導が十分ではないことの証明。
新型コロナの影響で難しい状況であったことは容易に想像できる。
それでもこれは大きな課題点だ。
今一度、選手たちに伝える方法を考えなければならない。
そんな状況下でも、日本代表として共に戦った選手たちは「忍」の心でフェアプレイに徹してくれたことは嬉しかった。

U19/U23のレースは暑さが本格的になる前に終了。
そして長良川の最大の敵である「暑さ」がピークに近づく頃、中学生大会はスタートした。
競技時間はおよそ30〜40分で終わるため不安要素は多少減るが、それでも選手の表情や動きには細心の注意が必要だ。
男子、女子、そして学年ごとにスタートしてゆく。
この大会は「選手権」の看板を外した。
理由は簡単だ。
勝つこと以上に学んで欲しいことがあるから。
勝利を目指すことを否定するものではない。
だがトライアスロンの原点「完走者全員が勝者である」ことをキッズ、ジュニアの選手には覚えてほしい。
初心者であろうと、経験者であろうと、速かろうと、遅かろうと、自分の今できるベストを尽くすことが最も重要であることを選手、指導者、関係者にも思い出して欲しい。

レース後は、そのまま長良川の地で中学生を中心としたユースキャンプを開催。
新型コロナで複数年に渡り開催ができず、同世代との交流ができなかった選手たちには本当に申し訳なかった。
ここから再スタート。
トライアスロンを安全に楽しみ、正しく成長し、レベルアップをしてゆけるよう多くの指導者が協力してくれた。
この期間に競泳大会、陸上大会、その他の大会で参加できなかった選手もいるだろう。
トライアスロン会の未来を背負う選手たちがもっと参加できるように、ユースキャンプを1年に複数回開催する計画もある。
ジュニア選手を正しく導くためには、優秀なる指導者の存在が不可欠だ。
それが結果として優秀なエリート選手の育成につながってゆく。

【写真1】
全国中学生大会の表彰式。
出場した選手全員が表彰台に集まり記念撮影。
岐阜県協会の若山会長には心から感謝したい。
中学生大会

 

 

 

 

 

 

 

 

【写真2】
ユースキャンプ。
トレーニングすること、学ぶこと、食べること、寝ること。
その全てが重要だ。
選手が自分で考え、自分で行動できる選手となれるよう指導を進める。
ユースキャンプ入江レクチャー
 

 

 

 

 

 

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

Copyright © 2015 Neo System Co., LTD. All Rights Reserved.