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第192回コラム「次世代選手、2023年シーズン好スタート」

2023年のオープニングレースともいえるアジアカップ香港大会が無事に開催された。
このレースには来年に控えたパリ大会(2024)ではなく、その先の時代に活躍するであろう選手たちを派遣した。

JTU認定記録会で可能性を示した次世代選手たち。
昨年のレースで結果を出した次世代選手たち。
もちろん記録会だけではバイクの実力が未知数ではあるが、合宿や日々のトレーニングにおいて最低限の技術と実力があることは確認できている。
エリートレースであっても対抗できる可能性は十分にもっていると判断している。
力試しとして、まずはアジア圏のエリート選手に挑戦してもらった。

男子ジュニアでは高校駅伝ランナーの大室杏夢選手と大島拓人選手が出場。
どちらもバリバリのランナーだが、スイムでも十分に戦える。
そしてバイクにおいても、田山寛豪コーチの助言を受けながら、自転車競技の吉井コーチ、大学生自転車選手の力を借り着々と実力を高めている。

女子ジュニアでは林愛望選手、林彩夢の姉妹。
そして同じチームの後輩・杉浦華夏選手が出場。
3選手ともインターハイ、都道府県駅伝に出場しているランナー兼トライアスリート。
そして全員が愛知県の倉内千紘コーチの教え子であり、2022年JTU認定記録会ランキングのトップ3。
有力な選手に加え、有力な若手指導者の出現を嬉しく感じている。

レース結果の詳細は大会HPのリザルトを確認してほしい。
アジア圏のレースとはいえ、エリートとの戦いの中で、男子では大室選手が4位、大島選手が5位。
女子では中嶋千紗都選手(U23)が6位、林愛望選手が8位。
他の選手も入賞を逃しながらも各々における課題を確認することができたと思う。
2028年ロスへの戦いに加わる可能性のある有力な選手たち。
読者のみなさんにはこの選手たちの名前を頭の片隅にいれておいて欲しい。

競技人口がそれほど多くないトライアスロン。
そのため野球やサッカーのように、レギュラーを賭けた生き残りの戦いにはなり辛い。
しかし競争力を上げなければレベルも上がり辛い。
今回、代表として戦った選手たちは陸上の世界で競り合い、結果を出しながら、トライアスロンに挑戦している非常に根気強く、勝負強い選手たちだ。
この先の成長を楽しみにしたい。

もう一つ上の世代、U23世代の代表格・中嶋千紗都もしっかりと戦って結果につなげた。
彼女も都道府県駅伝ランナーとしての実績をもつトライアスリートだ。
ここでは名前は挙げないがU23世代、そしてジュニアの有望選手たち。
スイマー出身の有力選手も着々とレベルアップを果たしている。
この世代が切磋琢磨をしてゆくことが日本のトライアスロンレベルを引き上げる。
今、現在パリに向けて戦うエリートを超えるべく、時間を掛けてしっかりと成長してほしい。

今回は敢えて名前を挙げて選手を紹介した。
結果が良かったから紹介したのではない。
繰り返し伝えるが中学生からトライアスロンに特化することは望んでいない。
我々は、この世代に「勝つこと」よりも「強くなること」を求めている。
強くなるためにはどうすべきか。
香港大会での結果はそのための階段の一段に過ぎない。

【写真1】
香港大会でのジュニア表彰式。
アジアのレベルではエリートと互角に戦えた。
だがヨーロッパ、オセアニア、北米のレベルは更に高い。
敗けることを恐れる必要はない。
だが挑戦する心は強く持ってほしい。

2023香港

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【写真2】
カーフマン南関東大会。
キッズ・ジュニア選手たちのスタート前。
長い歴史をもつカーフマンにも一つの区切りが訪れた。
最終戦の戦いは見応えがあった。
トライアスロンで躍進が目覚ましい佐藤錬がバイクで爆走し、そのまま優勝。
2022年世界トライアスロン選手権ジュニア代表の定塚利心が3位に食い込む。
デュアスロンの帝王・深浦祐哉もキッチリ入賞を果たし存在感を示した。
カーフマンキッズ

 

 

 

 

 

 

 

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

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