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第185回コラム「中学生ジュニア選手の強化に向けて」

新型コロナ、そしてウクライナ情勢。
不安要素は尽きないが、国内におけるスポーツ活動は徐々に緩和されてきた。
WTCS横浜大会も無事に開催された。

さて2022年から開催が休止したU15選手権。
これに代わるU15世代の大会が各地域で積極的に開催されることになった。
7月10日には野尻湖で中高生のアクアスロン大会(スイム375m+ラン2.5km)。
7月17日には長良川にて全国中学生大会(スイム375m+バイク10km+ラン2.5km)。
同じく7月17日には東京都にて海の森アクアスロン大会(中学生:スイム500m+ラン2.5km)。
9月18日には山形県寒河江市でジュニア大会(スイム200m+バイク10km+ラン3km)が開催されることとなった。
その他の大会においても中学生&U15カテゴリーを設定し、活躍できる場は格段に増えた。

強化・普及の両面から中学生世代まではトライアスロンを楽しんでもらいたい。
学校の授業があり、部活動がある。
学校生活を中心に過ごしてもらうことで何ら問題ない。
部活動に専念しようとトレーニングのポイントとなる部分を押さえておけば将来エリートで活躍することに何の障害もない。
逆にU15世代で勝つことばかりにこだわった選手は大人になる前に消えてゆくことが非常に多い。

燃え尽きてゆく選手を減らしたい。
もっとイキイキとトライアスロンや他のスポーツに取り組み、結果としてトライアスロンで成功するような道を歩んでほしい。
そのためU15選手権のあり方そのものを再考することになった。
勝負に特化して考えたいのであれば競泳や陸上競技の選手権を目指しておくことが重要だ。

もっと質の高い指導者が必要だ。
高価なバイクではなく、高い技術を。
速く走ることより、正しく走ることを。
無理して頑張らせるのではなく、健康第一の上にトレーニングを。
食事、睡眠、休養、生理、故障予防などをしっかり考えた上で指導を進めてもらいたい。

地方に行くと指導者不足から、どうしても大人と一緒に練習するジュニア選手が多くなる。
せっかく協力してくれるのだから、指導する大人の経験理論ではなく正しい理論、手順に基づいた指導をしてくれることをお願いしたい。
またジュニア選手の成績を上げることに自らのステイタスを求めることは避けてほしい。結果ばかりを追求せず将来を見据えた指導をお願いしたい。
正しく選手を導くためには、ご両親や周囲を支える人たちの理解と協力は不可欠だ。

川崎大師キッズ
【写真1】
川崎市トライアスロン協会の自転車講習会。
キッズ選手の指導を実施。
正しい乗り方をこの年齢で学ぶことは後々の技術向上にも大いに役立つ。
 
 

JTUタレント選抜合宿(千葉)
【写真2】
JTUタレント選抜合宿。
地域で育てた優秀なアスリートを如何にエリートまで育成・支援をしてゆくか。
今後の大きな課題だ。
 
 

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)トライアスロン日本チーム監督

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