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第175回コラム「オリンピックへの戦い・最終章」

4月24日(土)広島県廿日市市でのアジア選手権、5月15日(土)WTCS横浜大会、5月30日(日)男子特別大会は無事開催された。
レース前後の行動制限が多く、選手にとっての負荷は少なくない。
それでも大会を運営する主催者、開催都市、JTU、そして選手の熱い想いにより戦いの場は設けられ、選手は死力を尽くし戦った。

男子は特別大会をもって東京オリンピックへの選考対象大会は全て終了した。

残すところは女子。
6月6日(日)に開催されるWTCSリーズ大会。
そして女子3枠獲得に向けた戦いの最終戦、WTCウアトゥルコ大会(6月12日)。
この2戦のみ。

しかし戦いの舞台、イギリスへの入国自体も制限される厳しい状況となっている。
選手は、担当コーチと接点を持つことも難しい。
強いメンタルがなければ乗り切れないだろう。

最終章ともいえるこの戦い。
オリンピック対策チーム・リーダーとしては現地で視察をすることが当然だ。
しかし今回は行かない。
「行けない」と伝えた方が正確だ。
現地の制約と状況から帯同を諦めざるを得なかった。
LOC(主催者)が新型コロナ感染防止に向けては厳格に進めてゆかなければならないことは理解している。
WTCS横浜も選手の理解を得ながら、厳格な対応ができたからこそ開催できたのだ。
しかし最終決戦を直接観ることができない現実は本当に辛い。

さてWTCSリーズ。
ウエットスーツ着用の可能性大、低気温、と東京オリンピックとは全く異なる条件ではある。
本来であれば横浜を最終決戦の地として考えていたが、有力選手が揃わず、このリーズ大会が最終決戦の候補地となっている。
レベルの高いレースで選考を行うべきという選考基準の根本思想がある。
そのため有力選手が揃った大会を選考大会とする必要がある。
リーズに有力選手が集結することを期待している。
そしてそのステージで日本女子選手たちが底力を見せつけてくれることを期待したい。
読者の皆さんには、出場する日本選手全員を全力で応援してほしい。

宮崎特別大会スタート前
【写真1】
男子特別大会スタート前。
候補5選手のためだけに宮崎県が会場を用意してくれた。
その想いに応える素晴らしいレースを行うことができた。

 
 
 

宮崎特別大会ケンジ・インタビュー1
【写真2】
男子特別大会で勝利し、インタビューを受けるニナー選手。
この日の北條選手は本当に強かった。スイム、バイク、ランにおいて安定した強さを見せた。
そして2レース目の古谷選手の走りには鬼気迫るものがあった。背水の陣で臨む選手の勝利への気迫、底力を感じさせられた。
まさに1秒を争う戦いだった。

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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