TOP > 連載コラム > トシ中山の「渾身の一撃」 > 第173回コラム「オリンピック選考に向けた準備を」

第173回コラム「オリンピック選考に向けた準備を」

前回のコラムの続きとなる。
オリンピック選考にあたり、選手たちが「戦える舞台を準備すること」を自分の業務の一つとして掲げた。
この気持ちは今も持ち続けている。
しかし様々な想定をしながら準備をする必要に迫られている。

ワールド・トライアスロン(以下、WTと略)はオリンピック出場の選考に大きく関わるオリンピック・クオリフィケーション・ランキング(以下、OQRと略)対象レースの再開を延期した。
新型コロナの影響によりレースの開催ができなくなった2020年3月15日から今に至るまで、このOQRは凍結されている。
OQR対象レースが再開され、本番に向けた準備をすることは世界中のトライアスリートの願うところだ。
WTは2021年5月1日より前にOQR対象レースの再開はしないとしている。
これはやむを得ない判断であることは理解している。

だが現時点において5月1日、2日に開催が予定されていた中国での大会は延期となった。
翌週には大阪大会(5月8日)、翌翌週(5月15日)には横浜大会が予定されている。
大会を開催すべく地元もWTもJTUも全力で取り組んでいる。
4月開催予定のアジア選手権(広島県)も準備を進めている。
先行きは不透明だが誰もが「戦える舞台を準備する」ために全力を尽くしている。

しかし我々は更に準備をしなければならない。
本番までに戦う場所を準備することができなかった場合だ。
そこには「OQR対象大会が開催できない」というケースと、「大会が一切開催できない」というケースの2つがある。
これは難しい判断を迫られる。

「勝ち抜いた選手を代表として推薦すること。」
その勝ち抜くための戦いの場所が提供できない可能性を想定しなければならない。
これは辛い。
選手が一番辛い想いをすることになるが、推薦する側にとっても辛い選択をしなければならないことになる。
しかし、しなければならない。
この厳しいケースにおいて、どのように選手選考を進めるのか。
100%、誰もが納得できる結果に導くことは難しくても、理解はしてもらえる結果となるようにしなければならない。
選手たちは人生を賭けて戦っているのだから。

21沖縄男子合宿
【写真1】
沖縄で開催された男子合宿。
候補となる男子選手が一堂に会しトレーニングを行った。
準備はしっかりと進めている。
 
 
 

国頭村
【写真2】
この地図がどこを示すか自転車レーサーはすぐ判る。
ツール・ド・おきなわ210kmレースに含まれる本島北部のコース。
平地有、起伏有と変化に富んでいてトレーニングには最適だ。
 
 
 

ツール1
【写真3】
ツール・ド・おきなわ。
自分が出場したのは第1回(市民3位)、第2回(市民2位)、第3回(チャンピオン/順位不明)。当時の距離は200km。
残念ながらゴールスプリントで勝つことはできなかった。

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

Copyright © 2015 Neo System Co., LTD. All Rights Reserved.