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第164回コラム「緊急事態宣言終了。強化活動にも注意を。」

緊急事態宣言が解除された。
しかしわずか1週間で東京にはアラートが発令された。
緊急事態宣言が解除された日のお祭り騒ぎ。
コロナウィルス感染が収束した訳ではないのに。

しかしながら、いくつかのプールで泳ぐことが可能になった。
県をまたぐ移動は自粛することが求められるものの、比較的安全な場所から安全な場所への移動は可能となった。
選手にとってスイム・トレーニングが可能になったことは嬉しいことだ。
日本選手にとっては充実したトレーニングを行うことができるのだ。

しかし選手は平和が戻った訳ではないことを十分に理解する必要がある。
食べるに困る人が存在する。
仕事を失った人が存在する。
会社も多くの仕事を失い倒産や閉店の危機にさらされている。
毎日の生活においては感染しないよう警戒しながら過ごす必要がある。

選手にとってトレーニング再開は不可欠なものである。
だからといって我がもの顔でトレーニングをするような状況ではない。
そのことを理解した上でトレーニングに取り組んでゆく必要がある。

人々が安全に平和に暮らしているからこそオリンピックも開催できることを忘れてはならない。
トレーニングする場所を提供してくれる地域があるからスポーツが可能となる。
だが全員が今この瞬間に賛同している訳ではない。
日々の生活に追われる人たちにとってはスポーツなど無縁のイベントなのだ。

オリンピックが歓迎され、スポーツが様々な人たちに喜ばれ、受け入れられ、そして選手が敬意の念をもって迎えられるためには、ここからが勝負なのだ。
トレーニングを実行するに当たっては思いやりが求められる。
繰り返し伝えるが、こういった状態にあるからこそ我々は一層「感謝の気持ちと謙虚な心」が必要なのだ。

湯ノ丸プール
【写真1】
再開されたGMOアスリーツパーク湯ノ丸。
高所でより効果的なトレーニングを実施する。
周りはスキー場。
 
 

箱根駅伝中継所
【写真2】
近所にある箱根駅伝鶴見中継所。
2021年の開催はあるだろうか。
大学スポーツも様子を見ながら、再開に向けた準備が進んでいる。

 
 

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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