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トシ中山の「渾身の一撃」第156回コラム「テストレース終了」

2020東京オリンピックに向けたレースが開催された。
2019 Tokyo ITU World Triathlon Olympic Qualification Event
これがITUでの正式名称となる。
8月15日 エリート女子
8月16日 エリート男子
8月17日 パラトラ
8月18日 ミックスリレー

テレビでは水質問題や熱中症問題が大きく取り上げられた。
しかし選手にとっては1年前に同じ時期、同じ場所で開催される非常に重要な大会という位置づけに変更はなく、どの選手も「走ること」「戦うこと」に集中していた。

日本からは上田藍選手が欠場となったが、高橋侑子、佐藤優香、井出樹里がエリート女子に、古谷純平、北條巧、小田倉真、石塚祥吾、ニナー・ケンジがエリート男子に出場した。

女子ではWBGT指数の予測が厳しいと判断されランの距離が半分に短縮。
更に1,2位選手が失格。
いろいろな事態が発生したが、結局は強い選手が上位でフィニッシュする結果となった。
男子は通常の距離で行われたが本命選手が遅れる中、ノルウェーチームが大活躍。
このテストレース直前に日本男子と一緒にトレーニングをしていたが、その強さを遺憾なく発揮した。
ノルウェーのエース・ブルーメンフェルトが落車でDNFとなったが、そのまま走っていたら、と想像すると嬉しくも恐ろしくもある。

パラでもやはり強い選手が勝った。デュアスロンになったものの土田和歌子選手がきっちり優勝を果たす。
多くの課題を抱えるものの、複数の入賞者を出すなどパラチームは快調だ。

最終日のミックスリレーでは何とか8位入賞を果たし、2020年への期待を盛り上げたかったが結果は11位。
選手はベストを尽くした。スタッフもベストを尽くした。
結果につなげられなかったのは私の責任であり、選手・スタッフの責任ではない。
悪いレースではないが、あと1歩を来年までに補う必要がある。
それができていなかったのはチームリーダーの責任だ。

嬉しかったことは、初めて世界レベルのミックスリレーを直接見た関係者、観客から「ミックスリレーは面白い」という言葉をもらったこと。
この面白い競技で結果を出せば、トライアスロンはきっと盛り上がるだろう。
日本チームとして必ずや結果を示してみせる。
期待してほしい。

観覧席2
【写真1】
観客席からはレース全体と周回ごとの選手の動きが全て見える。
だが観客も熱中症には気を付ける必要がある。
来年の本番は、戦う選手、応援する観客にも配慮をした更に素晴らしい大会になるだろう。

 
 

ランコース
【写真2】
お台場特設コース。
バイク、ランのコースはこの大会のために特別に作られた。
大会が終われば撤去される。
スイムコースも通常時は遊泳禁止。
残念ながらコースに関しては「地元の利」は得られないのが現状だ。

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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