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トシ中山の「渾身の一撃」第154回コラム「一進一退」

2019年ITU公式戦の初戦、WC(ワールドカップ) Cape Town(2/10)。
上田藍選手が見事に優勝を果たす。
そしてWTS(世界シリーズ)第1戦、Abu Dhabi大会。
日本チームは男女とも結果を出せず、リレーにおいては完走もできずに終了した。
その後に続くWC Mooloolaba(3/16)、WC New Plymouth(3/31)においても大きな結果につなげられない。
WTS第2戦Bermuda(4/27)。昨年は高橋侑子、佐藤優香と2選手が入賞した大会においても結果につなげれなかった。
このままの状況でWTS横浜大会を迎えるのか。。。
オリンピック前年というプレッシャーが選手、スタッフに圧し掛かる。

苦戦の予感が漂いはじめた横浜大会の前週、WC Chengdu(5/12)。
ここで男子の北條巧選手がWCとはいえ男子としては1年ぶりの入賞(6位)を果たす。
そして迎えたWTS第3戦横浜大会(5/18)では高橋侑子選手が自身最高の4位入賞を果たす。
応援に来ていた日本の観客、関係者を大いに盛り上げた。
そして可能性を示してくれた。

しかしその後のWTS第4戦Leeds(6/9)、WC Huatulco(6/9)、
Notthinghamミックスリレー(6/15)では再び苦しい展開。
一方、WC Nur-Sultan(6/15)においてはデュアスロンになったとはいえ上田藍選手が再び優勝。
迎えたアジア選手権(6/20-6/22)においてもエリート女子、ジュニア男女、ミックスリレーにおいて優勝を果たす。

非常に厳しいスケジュールの中で、選手は連戦し、故障や不調と戦いながらポイントを稼ぎ、結果につなげるために最大限の努力をしている。
このコラムがアップされた直後にはWTS Montreal(6/29)が開催。
翌週にはWTS Hamburg(7/6)、世界ミックスリレー選手権(7/7)と続いてゆく。

全てのレースで好結果を出すことができれば、それは非常に嬉しいが、そんな都合よく物事は進まない。
狙った大会で結果を出す、目標とする大会で実力を示すことが最も重要だ。
そのため「それなり」で終わってしまう大会があることは容認してほしい。
決して手抜きをしている訳でもいい加減にレースに参加している訳ではない。
必死なのだ。

一進一退の戦いを続けている中で2020年東京オリンピックを目指すことができる選手は自然に絞られてきている。
一発逆転がない訳ではない。
しかし戦いの厳しさを本当に理解している選手のみが東京オリンピックへの挑戦権を手にすることができる。
誰が最後の勝負に参加し、そして出場権を勝ち取り、本番の舞台でメダルを目指すのか。
コラム読者の皆さんには身内の一人として応援して頂き、一般応援者としてシビアでそして冷徹な目で目標達成できるかを見つめてほしい。
それが「オリンピック出場を目指す選手」ではなく「オリンピックで戦う選手」の選考につながると考えるからだ。

北條
【写真1】
北條巧、WTSデビュー。スイムで7番目にフィニッシュするもフライングのペナルティ15秒を課されバイク第2グループに落ちる。
いろいろな意味で目立つ選手になった。

 
 

ノッティンガム
【写真2】
世界ミックスリレーシリーズ・ノッティンガム大会。
どんよりとした寒い天候の下、開催。水質の問題によりデュアスロン形式で開催。
寒さには強いとはいえない日本選手にとっては苦しい大会となった。
井出樹里、山本康貴、岸本新菜、谷口白羽の布陣で臨んだ。

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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