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トシ中山の「渾身の一撃」第153回コラム 「スーパースピード、スーパーリーグ(下巻)」

さて大会2日目。
本日のレースは「ENDURO」。
S200m-B5km-R2kmを3セット繰り返す。
ルールは最後尾の2名が種目ごとに除外されてゆく、というもの。
最初のスイムで2選手が除外、バイクで2選手が除外、ランで2選手が除外、そしてスイムで2選手が除外、バイクで、、、と続いてゆく。
3セット目のランで優勝が決定する。
周回遅れも除外されるが、それは最後尾2選手とはカウントされない。
すなわち自身が最後から3番目だと思って安心していたら最後尾の選手が周回遅れで除外されてしまったため、突然自身が最後尾2番目になってしまう、ということも考えなければならない。

苦しい中、相当な知力と戦略が求められる。
弱い選手ほど苦しく、強い選手ほど楽なのだが、数え間違い、後方選手の突然のレース除外といった落とし穴には気を付けなければならない。
距離が短いだけに一瞬のトラブルで脱落する。
途中でのパンクやメカトラは致命傷となる。
世界のトップ選手であっても挽回は不可能だ。

それでも強い選手はやはり強い。
その日の調子やレース展開で多少順位は前後するものの上位に入る選手は昨日と変わらなかった。

短い距離で、ひたすらハイスピードで駆け抜ける耐久レース。
トータルの時間で計算すると1レース20分として合計で60分。
しかしこの60分間の負荷はとてつもなく高い。
スーパーリーグは2020東京オリンピックから正式種目に加わったミックスリレーには非常に有効だと感じた。
レース後に大会主催者の1人と話をしたが「スーパーリーグ経験者の中からミックスリレーのメダリストが出る」と自信をにじませていた。

苦手な自転車種目から目を背け続ける日本選手たち。
敢えて困難に挑もうとする少数の日本選手たち。
どちらが最後に勝つかは明白だろう。
今からでも遅くない。
自分の嫌なトレーニング、嫌いなトレーニング、苦手なトレーニングに速やかに取り組むべきだ。
我々は「オリンピックに出場する選手」を代表としたくない。
「オリンピックで戦う選手」を代表としたいのだ。

リーダージャージ
【写真1】
各種目のリーダーには特別な色が与えられる。
ピンクは総合リーダー、水色がスイム・リーダー、緑色がバイク・リーダー、赤がラン・リーダー、銀色がトランジション・リーダーとなる。
高橋侑子選手は銀色ジャージを着る。
 
 

フィニッシュ
【写真2】
フィニッシュは途中でレースから除外された選手全員で迎える。
戦いが終われば選手同士は仲間なのだ。
勝者は称賛され、敗者は称賛する側に回る。
こんな当たり前のことを忘れてはいないだろうか。
 

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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