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第151回コラム 「第32回オリンピック競技大会(2020/東京)代表選手選考(下巻)」

2020年東京オリンピックより正式採用される新たな戦いの場、ミックスチームリレー(略称MR)。
昨年2018年の世界MR選手権で日本は7位に入賞。
ここでは出場した各選手が全ての力を出し、それぞれの役割をきっちり果たすことができた。
1,2,3,4走では求められる能力がそれぞれ違う。
基本的には個人の力が大きなウエイトを占めるが、戦略次第ではメダルにも手が届く可能性があることを示した結果となった。

さてこのリレーの選考をどうすべきか。
大いに悩むところだ。
全選手が一斉にレースで戦い先着順に選べば良い、というものではない。
世界各地で行われるMR大会を予選にすることも考えられるが、組んだメンバーによって結果は左右される。
すなわち公平ではない。

更に難しいポイントとして、東京オリンピックでは個人種目に出た選手しかリレー種目に出場することができない。
すなわちリレー種目だけに出場する選手は存在しないということだ。
更にリレーの距離はスイムが300m前後、バイクが7km前後、ランが2km前後。
そう、51.5kmとは全く違う能力が必要となるのだ。

スピードのある若手を選ぶことも選択肢ではあるが、オリンピック・クオリフィケーション・ランキング140位以内がITUからの出場条件として課されている。
これは世界シリーズ、ワールドカップでポイントを稼ぐ必要があることを意味する。
コンチネンタルカップの結果は全く反映されない。
こうした様々な条件をクリアした選手が本番の舞台に立つことができる。
「日本人で1番だから」と言って満足している選手が居たとするならば、そんな選手が行く場所ではない。
我々は、全選手が世界の頂点を競う場で戦う日本選手の活躍を見たいのだ。

測定合宿
【写真1】
JTU測定合宿。
1回だけの実施では意味をなさないが積み上げてゆくことでレベルの向上度合い、世界レベル選手との差などを比較してゆける。
選手の能力を数字で示すことを目的とする。
 
 

強化記録会
【写真2】
JTU強化記録会。
規定のタイムをクリアした選手には世界への挑戦権を与えることを目的として開催。
設定された規定タイムをクリアしたからといって世界で戦える実力がある、とは言えない。
しかしクリアできないようでは世界とは全く戦えない。
そういう意味合いを持っていることを理解して挑戦する必要がある。
 
 

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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