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第147回コラム 「2018年レースレビュー」

2018年シーズンも残すところあと僅か。
年々ハードになるレース・スケジュールに四苦八苦しながらも選手たちは戦ってきた。
全選手が一生懸命。
だが2018年を振り返った場合、「目標達成できず」が今年の結果。
世界シリーズでの表彰台を1度も獲得することができなかった。

詳しく示そう。
まず女子。こちらは世界シリーズ(WTS)での結果のみを示す。
2017年、表彰台1回、8位入賞5回。
2018年、表彰台0回、8位入賞3回。
主力選手の事故や怪我で思うような戦いができなかったことを理由として挙げるが掲げた目標は遠く及ばなかった。

一方、男子。こちらはワールドカップも含めて示してみたい。
2017年、世界シリーズ入賞0回、ワールドカップ8位入賞2回。
2018年、世界シリーズ26位が最高順位。ワールドカップ入賞0回。
残念ながら世界という舞台においては全く対抗できていない。

「これで2020東京大会は大丈夫なのか」と厳しい声も頂いている。
何を言っても言い訳にしかならない現在、立て直し策が急務である。

選手を非難することに意味はない。
結果については指導する我々、支える組織にも大きな責任がある。
成果を出せないことは選手、指導陣、組織の全ての問題として考えてゆく必要がある。
どこを改善する必要があるのか、しっかり考えて、即時に対応をしてゆかなければ間に合わない。

「オリンピック本番まで1年8か月ある」と関係者は考えない。
なぜなら1年後2019シーズン終了時にはオリンピック本番での結果が予測できてしまうからだ。
過去のデータもそれを裏付けている。
勝負は2019年なのだ。
2019年8月の東京テストイベントを最も重視しながら、世界シリーズ、そして世界ミックスリレーシリーズでの結果が大きな意味を持つことになる。
オリンピックの選考基準は本年中に出すことを求められており、選手は当然その基準、目標に向けて戦うことになる。

私個人が選手に求めたいことは本気になること。
オリンピックに出場するために本気になることではない。
世界一を目指し、オリンピックでメダルを獲得することに本気になってほしい。
日本選手同士でどちらが上か下かを議論することは何の役にも立たない。
本気で世界で戦う意思を持つ選手にこそ、日の丸を背負い、オリンピック代表として戦ってほしいのだ。
特に男子選手にはこれを切望する。

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【写真1】
日本選手権では高橋侑子、北條巧が優勝。
高橋侑子選手のITUワールドランキングは13位。
北條巧選手は87位。(どちらも10/24付)
この現実を男子選手はどう受け止めているのだろうか。
 
 

WTS-GF opening ceremony
【写真2】
オーストラリア・ゴールドコースで開催されたWTS-GF。
エイジ世界戦・パラ世界戦出場の日本選手と共にオープニングパレードに参加。
日本チームとしてエリートチーム、U23/ジュニアチーム、エイジチーム、パラチームが一体となって戦った。

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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