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第146回コラム 「新種目 Mixed Team Relayの進化」

2020年東京オリンピックから新たに採用されるMixed Team Relay。
略して「MTR」。
2018年は大きな大会がITU主導で4レース、IOCのもと1レースが開催された。
1つ目が6月7日にイギリスで開催されたNottingham。
2つ目が7月15日にドイツで開催されたHamburgの世界Mixed Relay Championship。
3つ目が7月28日のカナダで開催されたEdomonton。
4つ目がIOC主導のもと、インドネシアで開催された第18回アジア競技大会(パレンバン)に組み込まれたリレー。
5つ目がWTS-GFゴールドコーストに組み込まれたU23/ジュニア・リレーだ。

まだ日本選手にとって認識は薄いがオリンピック出場枠を決めるのに最も重要な大会のため各国も力を入れ始めている。

Nottinghamは若手を中心とした構成で戦った。
各国がどんな意識を持って出場しようとしているのか状況も判らず、どのレベルでの戦いになるのか明瞭ではなかった。
昨年はローカル大会の一つでしかなかったからだ。
またWTS、WC、CCなどの大会スケジュールが厳しくエリート選手を出場させることにもリスクがあった。
実際に出場してみると、リレーに向けて準備を進めている国と、様子見の国とに分かれていた。
WTSでも知られた顔ぶれを勢ぞろいさせた国、日本のように若手を組み込んだ国など様々だ。
レース結果は18チーム中の16位(完走16チーム)。
良い結果ではないが戦った相手チームのレベルを考えれば善戦したと言えよう。

Hamburgの世界Mixed Relay Championship においては日本のトップ選手で構成。
個人戦の疲労はあるものの他国の選手も含め、全選手が必死に戦った。
上位に入れば来年までの出場シード権を獲得できるからだ。
一時はトップグループを走る場面もあり、過去最高の7位でフィニッシュ。
多くの課題を抱えるなかで本当に選手たちは頑張った。

Edmonton はシーズン前半の疲労+前日のWTS個人戦で疲労を抱えた状況で女子は参戦。男子はレベル差が大きいことからWTSには出場せず、リレーのためだけに選手を送り込んだ。
22チーム中 11位(完走15チーム)。
悪い結果ではないが物足りない内容だった。

そして第18回アジア競技大会。
過去の3レースとは違って「勝って当たり前」と言われる中でしっかり結果を出せるか。
アジアでは最強と言われているプレッシャーに打ち勝つことが大きな目標だった。
どこの国も日本をマークしてきたが、選手たちはそのプレッシャーに見事打ち勝ち優勝を手にした。

残るはWTS-GFゴールドコーストにおいて開催されるU23/ジュニアで構成されるミックスリレー。
どんな結果につなげられるか。
リレーランキングにも影響するこの戦いの中で次世代を背負う選手の奮起を期待したい。
このコラムがアップされた頃には結果が出ているだろう。

リレー用ペダル【写真1】
MTR用にニュージーランドチームが開発したランニングシューズで走れるペダル。
T1における「シューズを履く時間」の短縮は望めないが、T2における「シューズを履き替える時間」は大幅に短縮できる。
どれほど有効であるか、まだ実証できていない。
日本でも20年以上前に同類の用具を田村嘉則選手(アジア選手権・王者)が使った。
しかもロングで使用して話題になった。

 

hamburg 7th【写真2】
世界ミックスリレー選手権においては過去最高の7位でフィニッシュ。
苦戦が続く中で新たな可能性を示すレース結果となった。
佐藤優香、古谷純平、高橋侑子、小田倉真のメンバーで戦った。

 

Palembang relay【写真3】
第18回アジア競技大会(2018/パレンバン)のミックスリレーにおいても佐藤優香、古谷純平、高橋侑子、細田雄一のメンバーで金メダルを獲得。

中山俊行プロフィール


中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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