TOP > 連載コラム > トシ中山の「渾身の一撃」 > 第140回コラム 「ブレる?ブレない?(その1)」

第140回コラム 「ブレる?ブレない?(その1)」

シーズンも後半戦に突入。
8月は合宿真っ盛り。
JTUにおいても「U15」「次世代男子」「U19」「ポテンシャルアスリート」「U23女子」と国内合宿を開催。
またエリートにおいては海外を拠点とした合宿を開催している。

2020年・東京オリンピックの目標は?
「女子はメダル、男子は8位入賞」を具体的に掲げている。
男子の目標をなぜ「メダル獲得」にしないのか、という声は当然聞いている。
残念ではあるが、現実可能な最大の目標が8位入賞だと考える。
夢を持つことは大切だが、指導陣は厳しい現実も理解しておかなければならない。

まずは現状のおさらい。

女子のメダル獲得は相当に高い目標だ。
前・女王G.ジョーゲンセンは出産のため休養中であるが、2016年リオデジャネイロ・オリンピック、そしてそこに至るまでの強さを考慮すれば高い壁として立ちはだかることは容易に想像できる。
そして「真」女王ともいうべき、F.ダフィー。
彼女の破壊力あるバイクに抵抗できる選手は誰も居ない。
スイムで先行、バイクで先行、そしてランで逃げ切る。
男子と同じ超高速の時代を迎えた女子のレースでも第1グループに残っていかなければ目標の達成など程遠い。
メダルはたった3つしかないのだから。
先頭を走るであろうダフィーから離れた時点で日本のメダル獲得の野望は崩れ去るだろう。

男子のレベルアップも止まらない。
スイムの高速化は少し落ち着いたが400mを4分切るペースは健在だ。
その上でバイクパートの争いが厳しさを増す。
自転車ロードレース同様のスピードの変化。
繰り返されるアタック。
少人数による逃げ集団。
高い技術を求められるコーナーワーク。
ここで体力の削り合いが行われている。
そして最後の極めつけはハイスピードランニング。
現状の日本男子はバイク終了時までは第1グループで走れることもある。
しかし第1グループであっても第2グループであっても、その体力のほとんどをバイクで使い果たしてしまうケースがほとんどだ。
もともとのベストタイムが違っていることも大きな要因でもある。
そのためランでは勝負ができていない。
これが現実。

夢を持つことは素晴らしいが2020年東京オリンピックは「ファンタジー」の世界ではない。
現実を受け止めた上で、どう進むのかを冷静に考える必要がある。
さて現実を受け止めた上で選手たちは目標に向けて進めるだろうか。
次回のコラムでその中身を検証してみよう。
U15合宿での小原
【写真1】
U15合宿にて話をする小原工(2000年シドニー五輪代表)。
この世代から心を育てることが大切となる。

アジア選手権 男子
【写真2】
アジア最強であっても世界の舞台ではまだまだ苦戦が続く、日本男子。
彼らの能力が低いとは思わない。
だが現状のままでは目標達成ができないことも事実。
日本チームが一丸となって戦うことで可能性を高めてゆけるだろう。

Copyright © 2015 Neo System Co., LTD. All Rights Reserved.