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第137回コラム 「バイクは自分の命を乗せている」

U15合宿においてはバイクの基礎として次の指導を恒例指導として取り入れている。
・車輪の外し方
・車輪の取り付け方
・パンクの修理方法(チューブの交換方法)
・ブレーキの確認
・各部ネジの点検
この作業を30人の選手に対し行うと2時間は必要となってくる。

落車すると怪我をして痛い。
救急車のお世話になる場合もある。
他人を転ばせた場合、転んだ選手も転ばせた選手もとても気分が悪い。
これはどの選手も理解している。

なのになぜ多くの選手は自転車に乗ることばかりで基本的な作業をしないのだろう。
基本的な練習をしないのだろう。
どうしてそれでレースに出場するのだろう。
これはエリートにも言える話だ。

コーナーリングが苦手なら練習する。
登坂が苦手ならギアチェンジの練習もしておく。
雨が苦手なら何に注意して走るべきか勉強しておく。
集団走行が苦手なら、どうすれば上手く走れるか考える。
なぜほとんどの選手が実行しないのだろうか。

1台100万円近い自転車にまたがり、数十万円の車輪を使い、でもそのバイクも車輪もコース状況に適していない場合が多く見受けられる。
高額バイク=速いバイクといった間違った認識。
選んだ理由を聞くと「このブランドが好きだから」「色が格好良いから」。
余りにもバイクに対する感覚がズレている。

時速40km以上のスピードで、水着1枚で走る恐ろしさを理解してほしい。
ブレーキが利かなかったらどうなる。
ハンドルのネジが緩んでいたらどうなる。
タイヤに傷がついていて突然パンクしたらどうなる。
車輪のスポークが折れたらどうなる。
転びそうになった場合、どう対処する。

確かにJTU強化方針としてスイム、ランの強化を強く打ち出してきた。
しかしバイクを甘く見過ぎている。
甘い認識は、事故や怪我につながるという意識が著しく欠如している証拠だ。

「バイクは命を乗せて走る乗り物である」
これを十分に理解してほしい。
確かにバイクを教えることができる指導者は極めて少ない。
だが今の時代、インターネットで基本を知識として知ることはできる。
せめて基礎を理解してからハードな練習に取り組んでほしい。
 
 
ホイールの違いこの車輪を使うシチュエーションの違いを選手も指導者も理解すべき。
指導者講習で使用した資料から。
 
 
安全宣言本年のU23男子合宿においてはトレーニング開始前に選手、スタッフが安全宣言をして食堂に掲示。様々な安全意識を高める作業をしながらトレーニングに取り組んだ。

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