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第135回コラム 「競技間連携・ボート競技からのアドバイス」

1月6日、日本ボート協会主催のボート上級指導者講習会に講師として参加してきた。
5名のオリンピアンを含め受講者は18名。
1984年ロサンゼルス・オリンピックの代表選手や日本選手権で13回の優勝を誇る選手も参加しておりレベルの高さを感じた。
講義は4日間にわたり、そのうちの1コマ(3時間)を請け負った。

これはJOCナショナルコーチ・アカデミーを一緒に受講した同期が声をかけてくれて実現した。
日本ボート協会にはトライアスロンU15合宿においても体験競技として協力を依頼。
ボート競技を体験させてもらった。
また有力なボート選手がトライアスロン界に移籍して、レースに参加するなど関係は深くなってきている。
他競技との連携は少子化を迎えている現在、見過ごす訳にはゆかない強化策だ。

ボートはシングルスカルという単独種目を除くと2人、4人、8人が1チームを編成し行われる究極のシンクロ団体スポーツと言われている。
トライアスロンとは全く異なる構成だが「一方向に進むのみ」「単純作業を極めてゆく」「センスより練習量」といった類似点も多い。

受講生とは言いながらも歴史ある競技団体のトップコーチ予備軍。
トライアスロン競技強化に向けてのコメントももらってきた。
「やはり同じか」と思わせる部分、そしてトライアスロンを知らない分「斬新なアイディア」も受けることができた。

その中で特に印象的だったアドバイスを共有したくここに掲載する。
このアドバイスが正しいか間違っているかは各自で判断すれば良い。
ただ大いなる参考となる。
この意見をどう利用して強化につなげるか。
指導者、選手、関係者にも考えるチャンスだと感じた。

(1) 意外と追い込んだ練習が少ないのですね。耐乳酸トレーニング量をもっと増やした方が良いのでは。
(2) 海外選手に体力負けするのであればスイム、バイク、ランをしないで基礎体力を作るトレーニング期間を
    設定してはどうですか。
(3) レスリングやラグビーなど接触系のトレーニングに取り組めば、スイムのバトルにも強くなるのでは。
(4) 日本の常識に囚われないためにも長期に海外合宿を組んでみては。南スペインなど温暖で、食べ物の美味
    しいところであればストレスは少ないはず。
(5) 箱根駅伝6区(山下り)の選手を積極的にスカウトしては。脚が強くてスピードがあることはトライアス
    ロンに向いているのでは。

表現方法は異なるけれど、常日頃から私自身が考えていることは少なくない。
私自身が直接、選手指導をしている訳ではないので実施するには至っていないが、(1)~(3)についてはU23選手には必要不可欠なトレーニングと思っている。
だが今の選手たちは、この内容をとても嫌うだろう。
大半のトライアスロン指導者も。
非科学的な匂いがするし、未知のものを避ける傾向にあるからだ。

1980年代
「水を飲むとバテるから飲むな」
「競泳選手はウエイト・トレーニングするな」
「野球選手が泳ぐなどとんでもない」
「柔道選手にはランニングなど不要」
さらに遡れば1950年代「インターバル・トレーニングなど役に立たない」。
かつて、これらは常識だった。

最先端のトレーニングとは数字ではない。
常識を打破したトレーニングを指すと私は考える。

追記:
不慮の事故で小林大哲選手が亡くなりました。
故人のご冥福をお祈りし、哀悼の意を表します。

U23合宿ゴミ拾い
U23合宿での課外活動。
普段練習に使うコースのゴミ拾いをトレーニング・スケジュールに組み込んである。
長い時間歩き続ける、拾う動作を何十回と繰り返す。
コースがきれいになる上、トレーニング効果もある。

八尾表彰
近畿ブロック拡大会議。
2府4県が集まってトライアスロンの情報交換、勉強会を開催。
長年に渡って選手指導に貢献してきた八尾コーチが表彰を受ける。

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