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第71回コラム「世界の激流」

2009年から始まったITU世界選手権シリーズ。
そのグランドファイナルと称される大会がオーストラリアのゴールドコーストで開催された。どういう位置づけの大会であるかは理解し辛い部分であるが従来の「世界選手権」と考えれば良いだろう。従って、オリンピック翌年の世界王者を決める大会といえる。日本からもジュニア、U23、エリートと全てのカテゴリーに選手を派遣した。期待が大きいのはジュニア女子、エリート女子。
しかし8月16日のWCSロンドン大会から、WCS横浜大会、アジア選手権、そしてWCS-GFゴールドコースト大会と連戦を余儀なくされた日本チームにとっては、厳しいレースとなることが容易に想像できた。

結果についてはJTUのホームページ、ITUのホームページで確認できるので、ここでは省略しておく。簡潔にいえば、満足ゆく成績は収めることはできなかった。

だがオリンピック翌年ということを考えれば一喜一憂する必要はない。
今年は手掛かりを掴み、ロンドに向けての戦いが始まる来年に向けての強化ポイントを確認できれば良いという本音もあった。

だが世界の流れは驚くほど激しさを増していた。
エリートに限っていえば、スイマーであり、サイクリストであり、ランナーである選手しか入賞は果たせなくなってしまっていた。
男子でいえば1500mを16分程度で泳ぎ、バイクでいえばロードレース全日本選手権で勝負を仕掛けられる。
ランで考えれば箱根駅伝のエースクラス。すなわち日本選手権出場クラス。10kmランであれば男子なら29分程度、女子ならば32分で走ることが求められる。

簡単にいえば、水泳でジャパン(全日本)に出場できるかできないかのレベルにある、実業団ランナー。かつ自転車ロードレースで勝負できる選手。

田山、山本も現時点では10kmを30分台では走る走力が身に付いている。その彼らが全く相手にならないレベル。最初の1kmを2分40秒で走り、最後の1kmも2分50秒で走る。こういう怪物を倒さなければメダルへの道は開けないのだ。
女子でいえば最初の1kmが3分14秒。最後の1kmが3分20秒。
もちろん最後はスプリント能力が求められる。スイムも同様。男子なら、最初の200mは2分10秒程度、女子であっても2分15秒程度が必要だ。

この現実を見据えつつ、2012年ロンドン五輪に向かわなければならない。
日本の目標は女子では「メダル獲得」。男子では「出場3枠獲得と入賞」。
世界の流れは激流。だが、その激流に敢えて挑戦する勇猛なる選手の出現を期待したい。

細田雄一 選手

細田雄一 選手

(写真1)田山、山本に続き、ようやく第3の男が現れた。
その名は「細田雄一」。
まだ世界に挑戦するためのスタートラインに立ったに過ぎない。
だが彼の成長を期待したい。

(写真2)佐藤優香選手

佐藤優香選手

(写真2)横浜大会ジュニアの部・・・完全優勝
ユースオリンピック・アジア予選・・・ブッちぎりで優勝。
アジア・ジュニア選手権・・・競り合いを制して優勝。
2週間後の世界ジュニア選手権・・・10位
日本の女子では事実上、4番目に位置する「佐藤優香」。
世界に対抗できる期待の女子選手だ♪

(写真3)WCS横浜大会.NHKBS-1で完全放送

WCS横浜大会.NHKBS-1で完全放送

(写真3)WCS横浜大会はNHK BS-1で完全放送。10月のお台場・日本選手権もNHKが放送予定。公共放送が、これだけトライアスロンに力を注いでくれているのだ!感謝!!

(写真4)A.ブラウンリー(GBR)とJ.ゴメス(ESP)

A.ブラウンリー(GBR)とJ.ゴメス(ESP)

(写真4)ランニング専門の選手と互角に戦えるレベル。
世界トップ2のランニング勝負。
今年絶好調、A.ブラウンリー(GBR)とJ.ゴメス(ESP) 。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本の
トライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタート ライアス
ロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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