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第134回コラム 「タレント発掘」

2020年東京オリンピックに向けて、JOC(日本オリンピック委員会)やJSC(日本スポーツ振興センター)においては各競技団体と連携して新たな選手発掘事業を頻繁に行っている。

JTUでは「JOCトランスファー事業」という名称で、他競技からトライアスロンへ挑戦する選手のトライアルが開催された。
同日・同じ場所において「JSCタレント発掘・育成プログラム(通称:NTID)」のトライアルも開催された。

競技団体にとっては有望な選手の発掘、トライアル参加選手にとってはオリンピックへの挑戦のチャンスを与えると、という目的となる。

有望選手を、こういった場所で見出すことは現実問題として非常に難しい。
身体能力、運動能力に優れた選手が存在していたとしても「水泳」という専門性の高い種目においては、その能力をフルに生かすことは難しい。
昨年のNTIDにおいて身体能力の優れた選手数名に声をかけてみたが、やはり水泳は高い障害となった。

専門一種目で戦ってきた選手にとって3種目あるトライアスロンに挑戦することはハードルが高い。
競泳選手にとっては走ることは苦痛となるケースが多い。
陸上選手にとっては泳ぐことは非日常行為である。
そして種目変更をすることは不安要素の大きな挑戦となる。
これらの不確定要素を打ち破ることは相当な勇気が必要であり、冒険ともいえる。
「砂漠の中のダイアモンドを探す」に等しい行為かもしれない。

だが可能性がある限り、タレント発掘する場所を作っておく必要がある。
水泳連盟関係者や陸上競技連盟関係者に個別に話を聞くと「走れるスイマー」「泳げるランナー」は確実に存在する。
これらの選手がトライアスロンに魅力を感じることができるようにしてゆくことは我々の課題だ。

「なぜJTU認定記録会に自転車トライアルがないのか」と聞かれる場面は少なくない。
ペダルを回す技術は若年時代に行うことが望ましい。
だが天候、路面状態、風、コースなどのコンディションに統一性が求められない。
そのために比較的条件が統一できる種目であるスイムとランで記録を取ることになる。

これを更に進めるためには「アクアスロン」が大きな指標になると考える。
デュアスロン大会は全国で開催されているのに、なぜかアクアスロン大会は少ない。
認定記録会を更に一歩進めたタレント発掘の場とするためには、アクアスロンが重要と私は考えている。
トライアスロンを運営するよりは楽だし、参加選手も最初の一歩を踏み出しやすい。
海外コーチとの話でもこのテーマは頻繁に語られる。
乱暴な意見かもしれないが、国体少年部などはトライアスロンにこだわらず、アクアスロンにすることは可能性を広げることにもなる。
各県からの高校生出場選手を集めやすく、学校体育にも取り入れやすいからだ。

トライアスロンをもっとメジャーに。
誰もが挑戦しやすいスポーツに。
そして世界の頂点に。
私の長年の、そしてこれからも続く目標だ。

強化記録会
JTU強化記録会。
エリート強化指定選手のみが参加できる記録会。
更に高いハードルを設定して、これをクリアした選手に世界シリーズやワールドカップへの挑戦資格を付与する。

NZ合宿NZチームとの合同合宿。
若手選手が海外選手と生活を共にしながら強化を図る。
貴重なチャンスに挑める選手をうらやましく思う。

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