2016年日本選手権。
女子ではWTSランキング3位という日本のトライアスロン史に名を刻む快挙を達成した上田藍が圧勝。
男子では田山寛豪が日本選手権10勝という伝説を打ち立てた。そして第一線を退くことを表明。
この2人は「強い選手が勝つ」ということを我々に見せつけてくれた。
通常であれば日本選手権終了後に選手はオフに入る。
しかし今年は様相が異なる。
日本選手権の翌週が香港アジアカップ。
その次がワールドカップ(以下、WCと略)トンヨン(韓国)。
そしてWC宮崎と続いた。
2017年、選手が出場を希望する世界シリーズ(以下、WTSと略)やWCに参加するためにはITUポイントを獲得し、ITUランキングを上げておくことが必要。
このITUポイントを獲得するために、日本に限らず世界各国の若手選手にとってはトンヨン、宮崎は2016年最後の大きなチャンスとなる。
リオデジャネイロオリンピックでは1枠しか獲得できなかった日本男子。
2020年東京オリンピックで3枠獲得は最低限の目標だ。
2017年以降、希望するWTS、WCに出場するために少しでもポイントを獲得させる。
そのため若手選手が参加できるよう出場枠をフルに活用した。
女子においては男子とは別の問題が存在する。
現在ITUランキング60位以内に6名の選手が存在する。
この6選手全員がWTS、WCに参加を希望した場合、ランキング下位の若手選手は出場枠定員オーバーとなるため出場することはできない(各国最大枠は6人を基本)。
これでは選手層は厚くならず競争力も高まらない。
ベテラン、若手の競争力を高めるためにも積極的にチャンスを与える。
男女で抱えるそれぞれの問題点を確認した上で若手にチャンスを与えた。
結果だけ言えばWCトンヨンにおいて若手選手は見せ場もなく終了した。
瀬賀楓佳のスイム2位が若手世代の可能性を示した唯一の結果。
だがWC宮崎においては高橋世奈が7位(女子)、小田倉真が9位(男子)に入り結果につなげることができた。
少しだけ可能性を見せてくれた。
2017年においては、男子はランキングを140位までに上げることが第1ステップ(WC出場可能レベル)。
女子は上位にいる6名の選手に迫る100位以内にランキングを上げることが第1ステップと考える。
勘違いしないでほしいのは「このランキングを獲得してやっとスタート地点」であること。
このランキングが確保できていない選手がオリンピックを語るなど尚早ということだ。
選手だけでなく、指導者、関係者の共通認識としてゆかなければならない。
一人でも多くの選手を「オリンピックに向けた戦い」のスタートラインに立たせること。
これが2017年の目標の一つとなる。
「入賞」「表彰台」はまだ先の話だ。