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第131回コラム 「リオデジャネイロ・オリンピックと次へのステップ」

2016年8月21日。
地球儀でいえばまさに日本の正反対。
ブラジル、リオデジャネイロで開催された第31回日本オリンピック競技大会が終了した。
トライアスロン男子は18日(日本時間23時スタート)、女子は20日(日本時間23時スタート)に実施された。
男子は田山寛豪が出場。
オリンピック出場4回目となる日本最強の男の戦いは厳しいものとなった。
出場枠が1しか確保できなかったことは田山の結果にも少なからず影響を与えただろう。
女子はオリンピック直前の世界トライアスロン・シリーズで5大会連続入賞を果たしたエース・上田藍を筆頭に、佐藤優香、加藤友里恵が2008年北京大会以来の入賞を目指し挑んだ。
しかし女子3選手も8位入賞という目標を達成することはできなかった。

各競技において熱戦が繰り広げられている。
世界一を達成した選手、メダルを獲得した選手、入賞を果たした選手、結果にはつなげられなかったが感動を残した選手など様々な映像が目に入ってくる。
しかし目を凝らしてみていると「オリンピックで勝負をするために来た選手」「オリンピックに出場できて満足している選手」の実態も見えてくる。
「出場すること」、それ自体が本当に凄いことは理解できる。
だが勝負をしに来ていない選手が戦う姿を目にしてしまうと落胆してしまう。
テレビでタレント化されてしまうのは仕方がない。
そうでなければマイナー競技はなかなか注目をしてもらえない。
だがそこで満足してしまっている選手に勝利などあるはずがない。
「ベストを尽くす」ことは当たり前。
その上で「勝つための戦いをしているのか否か」。
オリンピックとは選ばれた選手同士の戦いの場であることを忘れてはいけない。

夏休みを利用してU15合宿、U23合宿など未来に向けて合宿を開催している。
どの選手も一生懸命、どの選手も頑張っている。
だがそれぞれの選手の意識は大きく異なる。
我々ができるのは選手をサポートすること。
選手の目が世界に向くような指導をすること。
本人が大きな夢を持つのか、小さな夢で満足するのか、それは選手次第なのだ。

残念なことに今の選手には最も大切なものが大きく欠ける。
このままでは才能を持ちながら自己満足で終わってしまうだろう。
・相手に伝わる挨拶をする。
・相手に伝わる返事をする。
・人の話を一生懸命聞ける。
・感謝に気持ちを持てる。
・謙虚な心を持てる

これらのことができない選手にいくら練習させたところで先は見えている。
人として強くなることが選手として強くなることの基本なのだ。
「強い」とは何か。
本気で頂点を目指すのであれば常に考えて日常生活を過ごしてほしい。

人間力の向上なくして競技力の向上はない。橋本聖子JOC選手強化本部長は繰り返し伝えている。

JTUリオデジャネイロ壮行会
JTUが開催したリオデジャネイロ・オリンピック壮行会。
皆の応援が選手を支える。
応援の重さ、応援の強さを感じられる選手になってほしい。

U15合宿
U15合宿は基本能力の高い選手が揃う。
だが挨拶ができ、しっかりと返事ができた選手はほんの数名しないなかった。
これでは練習をする以前の問題だ。
まずは心の育成強化が急がれる。

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