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第130回コラム 「言葉の重さ」

小学生の頃、学校などで「大人になったら何になりたい?」と聞かれた経験は誰しもが持っているだろう。
思春期を迎える中学生の頃にはちょっとヒネくれたり、格好をつけたりで素直な答えにはなり辛いかもしれない。
でも言葉には出さなくても、自分の中に「夢」や「目標」を持っていた学生は少なくないはずだ。

「言霊(ことだま)」という言葉を聞いたことがあるだろう。
サザンオールスターズの歌にも「愛の言霊」というタイトルがある。
言葉には大いなる力が宿っている。

「オリンピックに出場したい」
「オリンピックで金メダルを取りたい」
目標を聞かれてこう答える選手はいるだろう。

U15世代の選手であれば「大きな目標を持つことは素晴らしい」
U19世代の選手であれば「実現したいのであれば、それに見合う努力をしよう」
U23世代の選手であれば「それを達成するために具体的な言動で示せ」
我々が求める内容も変わってくる。

夢を語ることは素晴らしい。
夢を持つことは素晴らしい。

だが高校生になる頃から、自分の発する言葉には責任が生じてくる。
大学生になればなおさらだ。
本気でなければ夢など語れない世代に入ってくる。

当然、指導者の対応も変わってくる。
U15世代であれば、選手が前向きに取り組めるような指導を積極的に進める。
目の前の小さな勝利にこだわることなく大きな夢に向けた長期的な指導をするだろう。
U19世代であれば、本気かどうかを推し量る必要が生じてくる。
目標に向けたトレーニングを開始し、当然その練習についてゆけない選手も出てくる。
目標実現に向けてどこまで頑張らせるべきかの判断をしながらの指導となる。
U23世代であれば、選手には覚悟を込めてもらう必要がある。
夢を実現するために練習をさせる必要があるからだ。
選手に掛ける言葉も一変する。
「ここまでできればOK」という練習が、「こんな程度の練習はできて当たり前」に変わる。
できなければ目標達成ができないことを理解している指導者は、できるまでやらせるしかない。
できないことが確定した時点で、その選手が「目標達成は不可能」という結論になるからだ。

中途半端な練習や考え方で取り組んでいる中途半端な選手の入り込む余地はない。
プロフェッショナルになってもらうしかない。
ホンモノの職人=プロフェッショナルになるには並大抵の努力ではなれないことは誰でも理解できるだろう。

自分の発する言葉の重さを理解してこそ選手は夢に近づくことができる。
言葉は重い。
そして魂が宿っているのだ。
だからこそ自分の目標を声に出して伝える必要がある。

U19選手権表彰
2016年U19選手権、男女の上位3選手。
2020年東京オリンピックに辛うじてチャンスが残る最後の年齢だ。

AC大阪スタート前
AC大阪大会にはランニングのスペシャリストが挑戦。
残念ながらこのレースでは実力を発揮することができなかった。
だが真価を問われるのは、この後だ。
敗戦を糧とするか否か。
誇り高き男の挑戦は始まったばかりだ。

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