TOP > 連載コラム > トシ中山の「渾身の一撃」 > 第126回コラム 「リニューアルするジュニアレース」

第126回コラム 「リニューアルするジュニアレース」

2016年、トライアスロン界にとっては5回目の挑戦が始まる。
今までと大きく違うのは4年後に東京でオリンピックが開催されるということ。
これは目の前の大会で結果を出すことはもちろん、2020年に向けて各競技団体がどのように進んでいるか内容を問われることを意味している。
まずは8位入賞が課された日本チームの大きな課題である。
もちろん選手自身は入賞に留まらずチャンスがあればメダルを狙ってゆくことを目指してトレーニングに励んでいる。

以前にも伝えたが強い選手を育てるためには、指導やトレーニング、環境が重要だ。
レースコースも環境の一つ。
特にバイクは、レースコースが選手を育て上げることを改めて伝えたい。

2016年の日本U23/U19選手権は酒田(山形県)、長良川(岐阜県)より長野県へと舞台を移した。
長野と言えば「山」。
バイクコースは近年まれに見る山岳コースとなる予定だ。
2km登り+2km下り+1km平地+2km登り+2km下り、のおよそ10kmのコース。
古い選手には伊豆大島大会のバイクコース縮小版といえば理解して頂けるだろう。
下り坂でもタイム差をつけられるコースだ。

ここまで強化チームはスイムとランを重視してきた。
各選手、各指導者の意識も上がりタイムは一定の向上を見せた。
このタイムで泳げなければ国際レースでは第3集団にも残れない。
このタイムで走れなければ、たとえ第1集団でランスタートしても入賞にはたどり着かない。
この考えを基本とし、年齢に応じて設定されたタイムが認定記録会の標準記録である。
この標準記録をクリアする選手は決して多くはないが、確実に数を増やしている。

遅まきながら、やっとバイク強化の重要性を語れる段階になった。
バイクは「集団に付いてゆくこと」。
数年前はこれが多くの日本選手のレベルだった。(もちろん例外は存在したが)
だが近年は、本当に意味でバイクの実力がない選手は集団のスピード変化に対応できず、バイクの集団から離されてしまうか、集団でバイクを終えたものの全くランでの精彩を欠く結果となっている。

3種目の中で最も多くの技術や戦略が求められるバイク。
見方を変えれば技術と戦略で、筋力の差、体格の差をカバーできるという意味だ。
唯一、他選手との協力体制を築くことができ、チームプレイすら可能である種目。
そのためには最低レベルのバイクの実力を求める必要がある。
野尻湖で開催されるU23/U19選手権はそんな想いを込めたバイクコースとなっている。

3種目で実力のある選手しか生き残れない。
トライアスロンは3種目全てにおいての実力が求められる時代に突入している。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
【写真1】
2016年のコースはこの風景が見える場所からのスタートとなる。
波がなく非常に泳ぎやすいため、スイマーにとってはリードを付け辛いといえる。

DSCN3825
【写真2】
安全性を高めるために各地で開催されるドラフティング講習会。
写真は兵庫県協会が開催した講習会。
基本技術をしっかり身に付け、レースに臨んで欲しい。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

Copyright © 2015 Neo System Co., LTD. All Rights Reserved.