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第123回コラム 「リオデジャネイロオリンピック1年前」

気が付けば10月。
8月にはU15/U19選手権。
そしてリオデジャネイロテストイベント。
9月にはWTSグランドファイナル・シカゴ大会。
そして10月は日本選手権。
重要な大会が目白押しだったにも関わらずコラムを更新できていない。
なので、できるだけ速やかにコラムを更新してゆくことにする。

まずは地球の反対側の話。
8月、ブラジルのリオデジャネイロでは2016年オリンピックのテストイベントとなるトライアスロン競技がコパカパーナビーチで開催された。
JTUとしては一昨年に村上晃史コーチ、昨年は私が現地視察に来ていた。
大会数か月前にやっとコースが確定。
スイムとランは予想通りのコースであったがバイクコースは瞬間的最大斜度が20度近くある短い坂を8回登るコースが準備されていた。
一部のエリート選手を除き日本選手にとっては完走すら難しいコースであろう。
私のコラムで何回も述べているが日本選手のバイク弱体化は悲惨な状況だ。

この大会は日本も含め数か国が2016年本番の選考大会となっている。
アメリカ女子においては予想通りジョーゲンセンが優勝して来年の出場資格を獲得。
残念ながら日本から内定選手を出すことはできなかった。

本番ではこの厳しいバイクコースを利用して勝負を仕掛ける選手が出てくることだろう。
今年は様子見の選手がほとんどで登りもそれほどのスピードではなく、下りも安全重視であったと日本選手のコメントだ。

日本選手は、高橋侑子と佐藤優香がスイムを第1集団で終える。
バイクでも安定して集団の中で登り坂、下り坂をクリアしてゆく。
来年、もう2段階はスピードが上がるであろうバイクをどう攻略してゆくか。
後ろから追走する上田藍にとってもこの厳しいバイクコースは大きなチャンスだろう。
ランは完全なフラットコース。
スピード勝負になることは明白。
ランニングのベストタイムが勝負を決することになるだろう。

さて男子。
田山と細田が出場。
田山も細田も大集団の中でレースを進める。
全選手とも様子見感が強いためスパートは見られない。
だが安全重視とはいえ、やはり勝負。
男子ではスイムでリードした少人数の第1集団が逃げる。
だが緩い下り坂で2名が落車。
この2名のダメージは大きくレースに復帰することはできなかった。
ランではバイクを第1集団で走り切った選手が優位にレースを進める。
第2グループで走った選手を追い上げるが届くことはなかった。
激坂+酷暑の中でもしっかり戦う選手。
日本代表が2016年本番でどう戦うか。
いずれにせよ厳しい戦いとなることは容易に予想できる。

治安に解決すべき問題があり、交通事情も芳しくないリオデジャネイロ。
だが世界有数の美しいビーチで開催されるトライアスロン競技。
素晴らしき映像の中で、世界に挑む日本選手の姿に期待してほしい。
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【写真1】
美しいビーチから海に向かってスタートする選手たち。波も適度にありスイムでの実力差も出やすい。

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【写真2】
市街地を抜け、ここから激坂が始まる。急な登り坂、急な下り坂、荒れた路面。
バイクでの実力差も出やすい。3種目における総合力が試されるコース設定となっている。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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