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第22回「トリノ五輪での戦い1」

寝不足である。原因はいわずと知れたトリノ五輪。
メダルが取れず苦しむ日本チーム。入賞はするものの、あと一歩でメダルに届かない。
この結果をみて「不甲斐無い」と感じるか、「よく頑張っている」と感じるか。

オリンピックを目指すトライアスリートはどういう気持ちで観ているのだろうか?
応援者として期待を込めて観ているか、未来の自分の姿をそこに重ねているか。
もし本気で五輪出場、メダル獲得を目指しているのであれば、自分が「あの場所に立ったら」というイメージをして観てほしい。
そうすれば自分の目指す道のりが、どれほど険しく、タフなものか容易に想像できるだろう。その上で「オリンピックでメダルを取ること」を真剣に考えて欲しい。
華やかな舞台ばかりに目を囚われず、そこに辿り着くまでの道のりをしっかりと理解しておく必要がある。

日本の選手に限らないが、競技自体も選手もマスコミの応援によって盛り上がり、マスコミによって潰されるケースが多い。
本番前にマスコミのおかげで注目を浴び、気合はノリノリ、実力向上。まさにこれから世界に挑む気持ちが盛り上がる。
・・・が、レースが近くなるにつれ一転。
マスコミによって過度に作られた虚像が大きなプレッシャーとなり、ついにはその重みに耐えられず潰されてゆく。

「メダルを取ります!」
この一言が無ければ、誰もその選手に振り向かない。誰もその競技を観ようとしない。
従って、選手も、その所属競技団体も「メダル獲得できる」と断言して大会に臨む。
しかし本当にメダルが取れるか、取れないか、当人達や競技関係者には判っている。
嘘でも言い続ければ本当になる・・・かもしれない。
現実は、やがて結果となり、テレビ画面を通して判ってしまう。
誰かが悪意をもって嘘をついている訳ではない。
時には嘘が真実になることもある。
スポーツという文化がない日本という国で生き残るためには、止むを得ない策だ。

マスコミ関係と、どのように上手く接してゆくか。どのように係わってゆくか。これを勉強しておかないと本番で結果をだすことは難しい。
実力以上の力、実力通りの力を発揮するためにも練習以外のことも勉強しておこう。

(写真)
私のお気に入り種目の一つ。あの静けさの中の異様な緊張感が興味をそそる。
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