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第23回「トリノ五輪での戦い 2」 

荒川静香選手、金メダル獲得おめでとうございます。
素晴らしき結果に日本中が沸き、当分は沸くだろう。フィギュアスケート人口が本当の意味で増えて、更にレベルア
ップしてくれると良いのだが。
ハヤリ物好きの日本人には無理な話かもしれない。

さて今回の五輪で日本選手はなかなかの苦戦を強いられていた。
五輪の結果を観て、あなたはどう感じているか?
「本番で実力が発揮できなくて弱いな~」と感じていたならば、それは選手ではなく、観客の視線でしかない。
現実的には「実力を発揮した結果」があの結果だと考えるべきだろう。

この五輪で実力以上の力を発揮したと感じているのは、スピードスケート・岡崎朋美、及川佑、XCスキーリレー・夏見円&福田修子、フィギュアスケート・荒川静香、スラローム・皆川賢太郎(敬称略)。
全ての競技を観ていた訳ではないので、あくまで個人的な見解である。
一部の選手を除き、あとの選手はほぼ実力を出した上での結果だと受け止めている。

世界で戦おうとする選手は必死、もちろんコーチも必死。だけど練習をする前に「生活の維持」「練習環境の確保」
などという現実問題と戦わなければならない。今回のトリノ代表選手も、その壁の前に苦戦を強いられてきたはず。
練習以前の戦いが勝負を分かれ目となった。

「死んでもメダルを取る」という意気込みは必要だ。だが実行するのは難しい。実際、死なないし、死ねない。
今の時代に生死を賭けた戦いをイメージすることは難しい。
メダルを取った後に「おめでとう」で終わってしまう日本の選手と、「一生の生活が保証される」選手とが勝負した
場合、どっちが勝つと思うか? 答は明白。
しかし、これを乗り越えなければ金メダルなど見えてこない。
このトリノでの日本選手の活躍を思い返しながら、「世界」を口にする各競技選手達の奮起を期待する。
トリノ五輪で、本当の意味において「世界」と戦ってきた選手に「お疲れさま」と言いたい。

さて、トライアスロン界は・・・
男子も女子も非常に苦しい状況にあることは事実。
残り2年でどこまでレベルが上げられるか。本当に意味で世界に通用できる選手に育つか。男子若手3人衆(平野、細田、田山)とベテラン勢、女子2強とそれを崩す勢力の争い。切磋琢磨して世界の頂点を目指してもらいたい。

(写真左より)
1、 日本一とは・・・まずはこれを目指そう!
2、 世界一とは・・・ここに辿り着けるのは、ほんの一握りの人だけ。
どうせならこれを目指して欲しい。
世界の頂点からはどんな景色がみえるだろうか。
2020_2

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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