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第25回「気合と根性!」

2006年シーズンが間もなく開幕する。既に海外のワールドカップに参戦している選手も居るが、多くの選手が4月開催の石垣島大会、宮古島大会からシーズン・インを感じることだろう。今年はどんな選手が活躍するか、楽しみである。新年度ということで、コラムにも気合を入れてみる。
タイトルにある2つのもの。「気合」と「根性」。
ある意味、スポーツにおいて最も非科学的なモノに聞こえる。
しかしながら、スポーツで勝つため、トライアスロンで完走するためには最も必要で重要な要素である。そして私が選手を指導する場合、素質を見る場合に最も重視するポイントである。「根性」
誰でも皆が持っている。ただ、それを発揮できるか否かが問題だ。
コーチが怒鳴ろうと、周囲が励まそうと、他人の力で発揮させられるものではない。
選手自身が、自分からそれを出そう思わない限り、出てくることはない。
すなわち、誰もが持っているが、使いこなすことが難しい武器なのだ。「気合」
別の言い方をすれば「集中力」ともいえる。今そこにあるものに全てを注ぎ込む。
他のものを一切遮断し、完全にその世界に入り込むことで発揮できる。
「集中力」というものが科学的に研究され、いろいろなデータも出てきているので、これを否定する選手はほとんど居ないだろう。でも「集中力」と書くと科学的だけど、「気合」と書くと実に非科学な響きだ。ワールドカップや世界選手権で、体格の優る海外の巨大な選手、才能に優る選手に勝つためにはどうするか。ロングレースで、挫けそうな自分、弱音を吐きたい自分にどう勝つか。
もちろん練習しなければ話にならない。練習することは当たり前。その上に、しっかりした技術練習だって必要だ。練習することでしか自信をつけることはできないからだ。
しかし、それだけでは目標達成はできない。

「必ず勝つ」という強い意思。「このレースを絶対に完走するんだ」という強烈な願望。
それこそが「気合」と「根性」を自らの心から絞り出す原動力となる。

「精神は肉体を上回る。」
自分の意思が自分の身体を作り上げてゆくのだ。たとえ気を失おうとも戦い続けようとする自分の身体は意志力によって作られる。
世界を目指す選手であれば必要なモノ。完走を目指す選手にとっても不可欠なモノ。
しっかり目標設定をして2006年シーズンを走り出してほしい。

(写真1)
日本の象徴「桜」。
はかなく咲くがゆえに美しい?
たとえ、短い時間であろうと美しく咲き誇るから美しい?
最高に輝くその一瞬のために残りの時間を厳しい練習に費やす。
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(写真2)
気合と根性が最も大きく反映される格闘技。
アドバイザーとして手伝っている同じジムの本田選手。
新人王戦で7月の決勝にコマを進める。
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中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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