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第29回「ジュニアエリートへの期待と、家族へのお願い」 

6月18日に幕張で開催されたスプリント日本選手権で、アジア選手権大会へのジュニア選手代表選考が行われた。選考基準に従い代表候補選手が決定した。
また7月2日には宮城県七ヶ浜大会でU23(23歳以下)のアジア選手権大会の代表候補選手が選考された。
選考が掛かっているだけに、どちらの大会も緊張感が漂い、見ていてワクワクする白熱したレースとなった。
選考された選手には、8月12日アジア選手権(中国)での活躍を期待したい。できれば、そこから更に9月2日&3日の世界選手権(スイス)まで駒を進め、活躍をしてほしい。

若手選手の台頭を待ちわびているが、ジュニア&U23選手の強化には家族の協力が欠かせない。良い指導者にめぐり合うことも重要であるが、それよりも重要なのは家族。家族の協力なくして強化は有り得ないといえるだろう。選手はちゃんと家族に感謝しよう!
一方、ジュニア選手が強くなる過程で最大の障害になる可能性があるのも家族である。ジュニアやキッズのレースで入賞すれば、本人も家族も期待は大きく膨らむ。しかしその期待が過度であったり、期待ゆえに選手の慢心につながったりするケースは少なくない。
残念なことにジュニア時代に期待されながら20歳を過ぎて消え去ってゆく選手は多い。

ジュニア時代に期待された選手が成人となり、エリートカテゴリーになった後も活躍し続けている例は多くない。寂しい限りだ。大松沙央里、平野司、山本良介などほんの一部に留まっている。庭田、関根、細谷、中西、小原、西内など五輪代表にジュニア出身の選手はほとんど居ない。その原因がどこにあるのか。

せっかくジュニアの時代に才能の芽が開きかけたなら、じっくりと、暖かく支援してあげて欲しい。焦り過ぎないことが大切だ。今現在ではなく、将来何が必要か、を見越して指導をしていってほしい。アドバイスをしてあげてほしい。
それが強化にあたり、選手、指導者、家族などの関係者全員に求められることだ。

ジュニアが元気にならないと競技は廃れてゆくばかり。ジュニアエリートから日本トライアスロン界を背負って立つ選手が出現することを願っている。

(写真1)U23アジア選手権選考会となった七ヶ浜大会の表彰式。アジア、そして世界への第一歩だ。
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(写真2)見事にU23アジア選手権代表候補となった我が後輩。しかしエリートで通用するには至っていない。頑張ってほしいものだ。

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中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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