TOP > 連載コラム > トシ中山の「渾身の一撃」 > 第32回「強き女子選手!? か弱き男子選手!?」 

第32回「強き女子選手!? か弱き男子選手!?」 

8月13日、アジア選手権(中国)が開催された。
エリート、U23、ジュニアの全てを含めて日本のメダル獲得数は10個。
素晴らしい結果だ。ジュニアやU23代表選手を派遣しているアジアの国が少なかったとしても充分に評価できる結果だ。
田山、上田、田中、伊藤と4つのカテゴリーで優勝。女子エリートと女子ジュニアに至っては1~3位までメダル独占となった。
入賞した選手達には心の底から「おめでとう」と伝えたい。

一方、日本の将来を暗示する結果にもなっている。
10個のメダルのうち女子が8個獲得に対して、男子はわずか2個。
田山がエリート男子で中国、カザフスタンを力づくで撃破したことで隠れてしまっているが、他の選手の結果は残念でしかない。
また大学生選手に関しても、ユニバーシアード(世界大学選手権)代表の大学生が誰一人として世界選手権に出場する資格を獲得できなかった。

8月20日、インターカレッジ(富山)が開催された。
純粋な競技大会か、大学生のお祭りイベントなのかいまだ明確ではないが、選手のレベルは上がっていると思いたい。男子は原智哉、女子は西麻衣子が優勝。
連戦となってしまうが優勝者には翌週のユニバーシアードに更なる期待をしたい。

8月27日、ユニバーシアード(スイス)が開催された。
大きな朗報が飛び込んできた。女子が過去最高の結果を出したのだ。
女子個人では西麻衣子3位、平山千尋9位、女子団体ではなんと優勝。
インカレ優勝者の西が世界の舞台でも見事な結果をだしてくれた。
一方、男子はというと最高で30位。連戦の疲労があるとはいえ寂しい結果となった。

現時点で世界と勝負できている男子選手は田山寛豪のみ。
僅か2年前は田山と同じ場所に立っていた男子選手は数名存在した。
その選手達には、なぜこれほどまでに差がついてしまったのか。じっくり考えてもらいたい。その理由を自分自身で理解できない限り差は開くばかりだろう。
どの選手も溢れるセンスと向上心をもっているのだから。
日本男子は決して弱くはないはずだ!
世界にその実力を示してほしいと願う。

9月3日は世界選手権(スイス・ローザンヌ)。代表全選手の活躍を願う。

(写真1)
日本の夏の風物詩「花火」。
だが、選手には一瞬で消え去る「打ち上げ花火」になって欲しくはない。
(写真2)
仁科三湖縦断アドベンチャーSWIM&RUN大会。
競技とは掛け離れた「遊び心」の大きな大会であるが意外と参加者は多い。
競技普及のためには「競争」と「遊び」の両方が大切だ。

2929_2

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

 

Copyright © 2015 Neo System Co., LTD. All Rights Reserved.