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第33回「伝統大会に吹く新しい風」 

オリンピック・ディスタンス・トライアスロン発祥の地、熊本県天草。
かつては本渡市と呼ばれていたが市町村合併で天草市と名前を変えた。
その地で開催される第22回天草大会には明日の日本を担うかもしれない選手が揃った。男子参加選手は、中込英夫に代わる新たな門番・山本淳一が中心となり、2連覇を目指す高濱、強いと言われながらビッグタイトルのない杉本、ワールドポイント獲得のために集まった世界の新鋭選手達。
世界を目指すというのであれば山本を乗り越えなければならない。逆に山本はナショナルチームである以上、このメンバーならば勝って実力を証明しなければならない。
こういった状況下での結果こそがその選手の本質を表す。
結果は杉本が優勝。この優勝を彼が自信とし、小原、田山を越えるぐらいまでに成長してもらいたい。
敗れた選手達は、それぞれに欠けているものを感じ取って再スタートを切ってほしい。それが理解できない選手に進歩はないだろう。女子は2012年ロンドン五輪に向けての日本トライアスロン界の将来を占うような選手が集結した。U23とジュニアの日本代表選手たち。
中心はエリートとして2連覇を目指す高橋梨香。
結果は新鋭・井出が苦手なパートで踏ん張りをみせて幕張大会に続き、気力の勝利。しかし敗れた選手も持ち味を出しながらの戦いだった。
この年代であれば結果も大切だが、その内容・戦い方を重視したい。これからも積極的な戦いを期待する。伝統ある大会での未来を賭けた戦いは観ている者を魅了した。来月10月には東京港での日本選手権、そしてハワイ・アイアンマン。
2006年を締めくくるレースに向けて各選手は最後の踏ん張りを見せていることだろう。日本選手の活躍を期待したい。そして来年に向けて確実にステップアップできるよう各選手には目標をしっかりと立てて臨んでもらいたい。

日本選手権優勝に向けて、海外転戦を捨て、その期間を練習につぎ込むという勇気ある作戦に切り替えた平野&細田のコンビ。完全王者となった田山にどう挑むのか今から楽しみで仕方ない。
女子でも、世界選手権では好調すぎるがゆえに肉体の限界を超えて走り、結果リタイアとなったが、その実力は紛れもない、女王・庭田清美を越える選手が出現するか。
2006年は新しい風を感じることがでるだろうか。
トライアスリートであるならば見届けてみよう。

(写真1)左
最も伝統ある天草大会での勝利は彼を変えることができるか。優勝者・杉本宏樹
(写真2)右
左からSWIMの崎本、RUNの井出、総合力の足立。全員がU23の明日を担う若手トライアスリートだ。
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(写真3)左
お前らが日本の男子世界を変えろ! 益田、岩田、平松の強豪選手達。
(写真4)右
天草といえば、こちらのお方。テレビ熊本の元アナウンサーであり現在はディレクターを勤める福田氏。古くから大会を支えてくれる大黒柱の一人だ。
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中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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