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第40回「応援は、チカラか、プレッシャーか」 

選手の周りに存在する多くの応援者、支援者達。
レース中に苦しくなったとき、彼らの声援が自分の背中を押し、何度も窮地を救ってくれた。
負けそうな自分に打ち勝とうとするとき、周囲の応援ほど力強く感じるものは無い。有り難いものはない。それが「五輪」という4年に1度の大舞台に立ち、「日本」という看板を背負った途端に、突然「プレッシャー」という障害物に変わってしまう場合がある。
確かにマスコミの騒ぎは「応援」というより「話題作り」のための「お祭り応援」となってしまうケースも多く、この場合の「応援」は「選手を励ますもの」ではなく「興味の対象物に掛ける偽りの言葉」でしかない。だからこそ選手には出場するに当り、その競技に取り組むに当り、確固たる信念が必要になることは前にも伝えた。選手時代の私を振り返ってみると成績の悪い年ほど、応援をチカラとすることができていない。むしろ「邪魔なもの」として感じていた。
「頑張って下さい!」という周囲の人達の素直な応援の言葉をチカラにすることが出来ていなかった。応援者「中山さん、頑張って下さい」。
中山の心の声((俺がレースで頑張らない訳ねーだろうが(怒)))
・・・・まさに弱い選手の典型である。ヒドい選手である。
自分のチカラを過信しているのか、弱い自分を隠すために虚勢を張っているのか、まさに最低の選手であった。因果応報、こういう年はだいたい重要なレースで大失敗をしていた。あるときを境にこの応援の声を素直に受け入れることができるようになった。
成績は自然と向上し、レース内容も満足できることが多くなってきた。
嘘のようだが、自分の心構えは成績にも反映される。

応援をチカラに感じられる選手は、どんな状況でも自身のチカラを出し切ることができる。
応援をプレッシャーにしか感じない選手は、本番で実力の半分も出すことができない。
さて、あなたはどっちだ?

「プロ」であろうと「エイジグループ」であろうと同じことである。
応援してくれることの有り難さを噛み締め、応援してくれる人達の熱い想いを背負って戦ってゆくことができるようになることが、チカラとするかプレッシャーとするかの分岐点となる。選手は一人で戦っている訳ではないことを覚えておいてほしい。

「日本」「所属チーム」「支援者」「応援者」「家族」「自分自身」そういった全ての看板を背負って戦ってゆこう。重荷ではない。これらは「プライド」という名前の大きなパワーに変えられる!
37第1回全日本選抜BC(ビジネスマンクラス)空道選手権。
大道塾空手の35歳以上を対象とした大会。トライアスロンでいうエイジグループ選手権だ。
「優勝」を意識して、多くの支援者のチカラを借りて練習をしてきた。しかしながら、最後の詰めが甘く「準優勝」に終わる。
37_2大道塾空手横浜北支部の先輩方。左端の方が所属する道場の支部長。
この面々は、朝から晩まで私をサポートするためだけに丸1
日を費やしてくれた。暖かな支援者達である。こういう熱い人達の想いに応えられるような選手になりたい。

http://daido-y.hp.infoseek.co.jp/

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本の
トライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタート ライアス
ロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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