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第60回「求む!!サムライ男子!」 

トライアスロン競技としては三度目の挑戦となる北京大会。3度目にして女子は初めて本命選手が表彰台を独占。しかし男子は、今回も予想外の選手が優勝。ど本命は表彰台にすら上がれなかった。実力以外のものが求められるオリンピック。だからこそ世界選手権とは違った面白さがある。
さて、テレビ放送を通じて日本選手の活躍は皆さんも知っているところ。女子は大活躍。井出の5位入賞を筆頭に、年齢の常識を打ち破る庭田の9位、そして日本選手としては考えられなかった上田のバイクラップ2位。N.スピリングとたった2人で20秒前方の第一集団を捉える走り。しかも、対等に走って捕まえる実力を見せつけ日本選手のバイクの可能性を見せてくれた。
一方、男子は悲しい結果に終わる。レース前の調整トレーニングでは快調だった田山は思いもよらない結果に。山本はいつも通り我慢しきれずバイクで飛び出してランにつなげることができない。「惨敗」という言葉以外、見当たらない。

他の競技種目でも同様だが、いつから男子はこれほど弱体化してしまったのだろうか?
今回の結果が全てではないが、日本男子のトライアスロン選手層は薄すぎる。田山と山本の2名に太刀打ちできる選手が存在しない。この2名ですら「世界で戦う最低ライン」に立っているに過ぎないのに。日本で3番目に強い選手が、山本のコーチである福井英郎コーチという現実に呆然とするばかりだ。

三度目のオリンピックを戦って見えてきた日本の光と影。日本はどこへ向かうのか。
10月に開催される日本選手権。女子の「日本一」は世界入賞レベルでないと辿り着かない遥かな道のりとなった。言い換えれば、この3名を打ち破れば世界での入賞が可能であることの証明になる。2番手グループに位置する選手、若手の選手には、この大きな壁にガンガンと挑んで、乗り越えることを目標としていってもらいたい。
男子は、田山、山本、福井に独占され続けている現状を打破する選手の出現を期待する。はっきり言って、この3名に勝てない選手はワールドカップに参戦する必要はない。無駄以外の何者でもない。そのことを頭に入れてトレーニングに取り組み、戦いを挑んでほしい。
まずは競技者としての意識レベルを上げるべきだろう。「僕には僕のやり方がある」と言っているような選手では既に世界では通用しない。この甘えから脱却できない限りは、世界になど届くはずはないと断言する。

サムライスピリットを忘れてしまった日本男子の復活はできるのか。我と思わん者は、日本選手権で私を見返してくれ!

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バイクコースを試走する山本良介と田山寛豪。単純な技術向上やタイムアップだけでなく精神面の向上が求められる。飯島監督、八尾監督の言うところの「人間力」だ! 当分、この2名の2強時代は続くだろう。

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井出選手と小美野メカニック。サポート体制をしっかり引いて臨む日本チーム。日本チームの自転車トラブルは今回もゼロだった!

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本の
トライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタート ライアス
ロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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