某ボクシングの試合ではそれが無かったために社会問題にもなってしまった。実にクダラナイ話だ。
尊敬できる相手を打ち破るからこそ価値がある。ベストコンディションの相手に勝つからこそ自分の自信となる。そういう舞台が自分を磨き上げる絶好の場所だ。
父は有名なプロレスラー・坂口征二、弟は有名なタレント・坂口憲二。その長男・坂口征夫はプロ格闘家として活動している。有名な父と弟、その狭間で活動している格闘家・坂口征夫は本人が望もうと望むまいと大きなモノを背負ってリングに立つ。そのプレッシャーは恐ろしく大きい。プロでの戦績は1勝1敗。ファイトスタイルは「殴り合い」。
対戦相手は私のコラムにも何度か登場してもらっている、私がアドバイザーをしている選手「本田朝樹」。彼のファイトスタイルも「殴りあい」。
試合の結果は、第1ラウンド、52秒で本田選手のヒールホールドが決まって1本勝ち。しかし殴り合いでは坂口選手が見事なパンチで本田選手の意識を吹っ飛ばし、ダウンさせるという両者の持ち味を出し切った対決であった。
この2人は普段から共にトレーニングを積み、相手のことを尊敬しあう仲だ。だからこそプロのリングで、その実力を示してみたいという想いでこの組み合わせが決定した。
今回は母を亡くし落ち込んでいる本田選手を坂口選手が励ます意味もあった、とも言われている。その真意は判らないが強烈な印象を残す試合であったことは間違いない。
試合は短い時間で決着したとはいえ、今のトライアスリート達に一番持っていてほしい「熱い想い」「勝利への執念」がこの試合には凝縮されていた。
熱いレースをいつもしているか?
やたらと多くのレースに参戦し、惰性で戦い、挙句、アマチュア選手やエイジグループ選手に簡単に敗れる自称プロ選手。何がしたいのか?
勝つと宣言しながら、内容すらも伴わない口ばかりの選手。本気で勝つ気があるのか?
見せ掛けだけの速さを求める選手。本当に強くなる気があるのか?
自分の全てを出し尽くし、燃え尽きることができるような熱い戦いをしてゆくことが自分自身の本当の実力を高めてゆく。
(写真1)
ウィナー・本田朝樹。彼はセコンド、練習パートナー全員をリングに上げ、一緒に勝ち名乗りを受けた。
(写真2)
勝負が決した瞬間。勝負は終わるまで判らない。「負けたか!」と思った一瞬後には勝者と敗者が入れ替わった。
中山俊行プロフィール
中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本の
トライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタート ライアス
ロン」。
【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督